2018/08/10 12:00

第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質5; アクリルアミド

 こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の薬学理論問題(衛生)から食品に由来する有害物質を論点とした問題です。問98-123は、選択肢ごとにテーマ(ニトロソアミン、サイカシン、ベンゾ〔a〕ピレン、Glu-P-1、アクリルアミド)が異なるので、別々に解説します。

選択肢5. 論点:アクリルアミド /
Q. 5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。A.【正|誤】|

問98-123-5は、論点「食品に由来する有害物質」のうち、アクリルアミドをテーマとした正誤問題でした。同様のテーマの問題として、問101-123-1があります。論点解説を読み終えたら、この過去問題(選択肢1)にチャレンジしてみるといいですよ。

第101回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する有害物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. ポテトチップスを製造する際の加熱時に、ジャガイモに多く含まれるアスパラギンが糖と反応してアクリルアミドが生じる。
2. 魚の焼け焦げの部分に含まれるトリプトファン由来の変異原性物質は、トリプタミンである。
3. マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は発がん性を示すため、食品中含量の表示が義務づけられている。
4. 魚に含まれる2級アミンが胃の中で塩酸と反応することにより、ニトロソアミンが生じる。
5. 輸入ピーナッツと同様に、コウジ菌を用いる味噌・醤油についても、食品中のアフラトキシン濃度が重点的に検査されている
 (論点:食品に由来する有害物質)

はじめましょう。

解説します。農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/index.html 」に、情報がわかり易く整理してありました。詳細は、上記農林水産省HPをご参照ください。アクリルアミド(CAS登録番号79-06-1)の化学的な情報は、PubChemのCompound Summary for CID 6579 (https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/6579#section=Top )も参考になると思います。農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報」から、詳細編>食品中のアクリルアミドができる仕組み(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/sikumi.html )を引用すると、アクリルアミド生成の主な原因は、食品原材料中のアミノ酸のうち、アスパラギンと、還元糖(果糖ブドウ糖などが、調理中の加熱(120℃以上)により「アミノカルボニル反応(メイラード反応)」を起こし、その過程でアクリルアミドが生成するため、との記載があります。ここで覚えておくべきことは、アミノ酸として「アスパラギン」が関与していることとその化学構造式、そして、アスパラギンとグルコースなどの還元糖が、調理中の加熱(120℃以上)によるアミノカルボニル反応(メイラード反応)の過程でアクリルアミドが生成することです。農林水産省|アクリルアミドの健康影響 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.htmlによれば、アクリルアミドは、赤血球のヘモグロビンをはじめ、細胞骨格と関わるタンパク質や精子中のプロタミンといったタンパク質と特異的に結合します。また、アクリルアミドの代謝物であるグリシドアミドは、DNAやヘモグロビンなどのタンパク質との結合力がアクリルアミドよりも強いと考えられています。図1を参照して、必要な化学構造式や反応等について復習しましょう。


図1 アクリルアミドの生成 抜粋 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報」詳細編>食品中のアクリルアミドができる仕組み(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/sikumi.html )、詳細編>アクリルアミドの健康影響 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html

また、特にアクリルアミドが多く含まれていた食品は、農林水産省HP「詳細編」>アクリルアミドが含まれている食品(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html )を引用すると、ポテトチップスフライドポテトなどのじゃがいもを揚げたスナックや、ビスケットなどの小麦を原料とする焼き菓子で、コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように、高温で焙煎した食品にも多く含まれており、家庭やレストラン等で調理された食品からも検出されること、そして、上記の他に、もやし、アスパラガス、かぼちゃなどの野菜類やリンゴなどの果実類をオーブンで加熱したものからもアクリルアミドが検出されること、などの記載があります。食品中のアクリルアミド含量を調査したデータは種々あります。ここでは、上記参考資料から、第38回コーデックス委員会食品添加物汚染物質部会の報告(2006年)における食品中のアクリルアミド濃度(国際的なデータ)を示します。図2は、上記データのアクリルアミド濃度最大値をもとに上位10位を抜粋して示したものです。食品の種類を確認しましょう。


図2 食品中のアクリルアミド濃度(国際的なデータ:抜粋) 抜粋 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:農林水産省HP「詳細編」アクリルアミドが含まれている食品(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html )

一方、アクリルアミドの健康影響( http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html )を引用すると、国際がん研究機関(IARC;世界保健機構(WHO)の一機関)は、アクリルアミドをグループ2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質」と分類、また、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、2005年の会合で食品中のアクリルアミドについての詳細なリスク評価を初めて行い、毒性の中でも重要なものは「遺伝毒性発がん性」であるとし、食品からのアクリルアミド摂取が、「神経の形態変化や発がんを引き起こす懸念がある」と評価、食品中のアクリルアミドを低減するための取組みを継続すべきと勧告、との記載があります。以上の情報から、覚えておくべき項目は、アクリルアミドが含まれている主な食品の種類、健康影響としては、国際がん研究機関(IARC)が、アクリルアミドは上から2番目のグループ2A「ヒトに対しておそらく(probably)発がん性がある物質」としていること、およびFAO/WHO合同食品添加物専門家会議が、「低減するための取組みを継続すべき」と勧告、その再評価は継続的に行われていることなどです。国内では、食品安全委員会HP(加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報 http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html )の評価結果など、最新情報をチェックしておくと、より理解が深まると思います。食品安全委員会による最新の評価書「加熱時に生じるアクリルアミド(2016年4月) http://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.data/acrylamide_hyokasyo1.pdf 」によれば、アクリルアミドの発がん影響のリスクについては、ヒトにおける健康影響は明確ではないが、動物実験から求めたBMDL10と日本人の食品からのアクリルアミドの推定摂取量から算出したばく露マージンが十分ではないことから、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないと判断し、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則に則り、引き続き合理的に達成可能な範囲で、できる限りアクリルアミドの低減に努める必要がある、とされています。なお、日本人における食事由来のアクリルアミド摂取による非発がん影響は、一定のばく露マージンが確保されていることから極めてリスクは低いと判断されています。

ポイント|
【A】に含まれる有害化学物質で、【B】ときに生成する【C】は、【D】(CH2=CH-CO-)と【E】(-CO-NH-)をもつ有機化合物である。原材料に含まれる【F】と【G】が、揚げる、焼く、焙るなどの【H】により【I】を起こす過程で主に生成し、 重要な健康影響は【J】であるとされ、また、【K】が懸念される。

A. 加熱食品
B. ジャガイモを揚げた
C. アクリルアミド
D. アクリル基
E. アミド基
F. アスパラギン
G. 還元糖(果糖、ブドウ糖など)
H. 加熱(120℃以上)
I. アミノカルボニル反応(メイラード反応)
J. 遺伝毒性発がん性
K. 神経毒性
(完。。。)

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)

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第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問122 食品表示法に基づく食品表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. n-3系脂肪酸、ビタミンK及びカリウムは、栄養機能食品の栄養成分として栄養機能表示が認められている。
2. 特定保健用食品において、疾病リスク低減表示が認められている関与成分には、葉酸、カルシウム及びヘム鉄がある。
3. 機能性表示食品では、科学的根拠を有する関与成分について、企業の責任において疾病リスク低減表示が認められている。
4. 食品に含まれるナトリウムは、食塩相当量ではなく、ナトリウム量として表示する。
5. 特定原材料又はL-フェニルアラニン化合物を含む加工食品では、表示可能面積が小さくても、これを含む旨の表示を省略してはいけない。
 (論点:食品表示法 食品表示)>>
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