2018/08/08 15:00

第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質3; ベンゾ〔a〕ピレン

 こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の薬学理論問題(衛生)から食品に由来する有害物質を論点とした問題です。問98-123は、選択肢ごとにテーマ(ニトロソアミン、サイカシン、ベンゾ〔a〕ピレン、Glu-P-1、アクリルアミド)が異なるので、別々に解説します。

選択肢3. 論点:多環芳香族炭化水素 ベンゾ〔a〕ピレン /
Q. 3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。A.【正|誤】|

最新の詳細な情報として、食品安全委員会のファクトシート>食品に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)[PDF](平成24年6月14日作成) http://www.fsc.go.jp/factsheets/ を参考資料として解説します。上記資料によれば、食品に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHsPolycyclic Aromatic Hydrocarbons)とは、縮合芳香環(炭素と水素原子から成る)を2つ以上含む有機化合物で、有機物質の不完全燃焼または熱分解、各種の工業過程で生成されます。また、PAHsは火山活動、山火事、化石燃料の燃焼によって生成します。食品に多く含まれるPAHsとしては、ベンゾ〔a〕ピレン(benzo[a]pyrene)を含む30種類程度の化合物が明らかとなっています。PAHsは食品を焼く調理の過程や乾燥・加熱の製造過程で生成され、肉・魚介類の燻製、食品と炎が接触する調理(直火・網焼き)、植物油、穀物製品などに多く含まれます。
ヒトへのPAHs暴露経路は、喫煙者では喫煙が主な経路ですが、他方、非喫煙者では食品摂取が主な経路です。国際がん研究機関(IARC)は、PAHsの多くに発がん性あるいは遺伝毒性があること、並びに、ヒトに対する発がん性が疑われることを報告しています。ベンゾ〔a〕ピレン(benzo[a]pyrene)は、国際がん研究機関(IARC)の評価でグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されました(2012年)。なお、日本では、食品中PAHsの基準値は設定されていません。
次に、環境省|化学物質の環境リスク評価 第5巻[22]ベンゾ〔a〕ピレン http://www.env.go.jp/chemi/report/h18-12/index.html を参考資料として、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝を解説します。上記資料によれば、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝物のうち、ジオールエポキシ体のBPDE(7,8-dihydro-7,8-dihydroxy benzo[a]pyrene 9,10-oxide)の反応性が最も高く、究極発がん物質とされています。ジオールエポキシ体は遺伝子レベルでヒト肺がんとの直接的な因果関係を示す結果が報告されています。エポキシ体またはジオールエポキシ体はグルタチオン抱合を受けます。詳しくは、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝はチトクロームP-450(CYP1A1)を介して始まり、1,2-、2,3-、4,5-、7,8-、9,10位が酸化されてエポキシ体、6-位が水酸化されてフェノール体となります。フェノール体はキノン体、ヒドロキノン体へと代謝されて活性酸素を放出し、さらにグルクロン酸抱合・硫酸抱合を受けます。エポキシ体はジオール体またはジオールエポキシ体、フェノール体、トリオール体などに代謝され、ジオールエポキシ体はさらにテトロール体に代謝され、ジオール体やフェノール体ではグルクロン酸抱合または硫酸抱合、エポキシ体またはジオールエポキシ体ではグルタチオン抱合を受けます。

図1 多環芳香族炭化水素 / ベンゾ〔a〕ピレン 抜粋 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:食品安全委員会のファクトシート>食品に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)[PDF](平成24年6月14日作成) http://www.fsc.go.jp/factsheets/ 、環境省|化学物質の環境リスク評価 第5巻[22]ベンゾ〔a〕ピレン http://www.env.go.jp/chemi/report/h18-12/index.html

ポイント|
【A】などの【B】 (【C】)は、食品を焼く、乾燥・加熱する過程で生成され、肉・魚介類のくん製、直火焼の肉、植物油、穀物製品などに含まれる。【A】は、IARCによる評価でグループ1(ヒトに対して【D】)に分類され、その他の【C】の多くにも発がん性が認められる。【A】の代謝物のうち、【E】のBPDE(【F】)の反応性が最も高く、【G】とされている。【A】の代謝は【H】を介して始まり、BPDEは【I】を受ける。

A. ベンゾ〔a〕ピレン
B. 多環芳香族炭化水素
C. PAHs,
D. 発がん性がある
E. ジオールエポキシ体
F. 7,8-dihydro-7,8-dihydroxy benzo[a]pyrene 9,10-oxide
G. 究極発がん物質
H. チトクロームP-450(CYP1A1)
I. グルタチオン抱合
(その4につづく。。。)

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)

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以上。BLNtより。

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第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問122 食品表示法に基づく食品表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. n-3系脂肪酸、ビタミンK及びカリウムは、栄養機能食品の栄養成分として栄養機能表示が認められている。
2. 特定保健用食品において、疾病リスク低減表示が認められている関与成分には、葉酸、カルシウム及びヘム鉄がある。
3. 機能性表示食品では、科学的根拠を有する関与成分について、企業の責任において疾病リスク低減表示が認められている。
4. 食品に含まれるナトリウムは、食塩相当量ではなく、ナトリウム量として表示する。
5. 特定原材料又はL-フェニルアラニン化合物を含む加工食品では、表示可能面積が小さくても、これを含む旨の表示を省略してはいけない。
 (論点:食品表示法 食品表示)>>
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