2018/08/06 16:33

第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)
薬剤師国家試験対策には、松廼屋のe-ラーニング「薬剤師国家試験対策ノート」ワンストップでお届けします。Twitterからの情報発信サイト @Mats_blnt_pharm ( https://twitter.com/Mats_blnt_pharm )で現在人気の企画「少し解説」と連動してココ( https://matsunoya.thebase.in/blog )から「松廼屋の論点解説」をお届けします。

松廼屋 Mats.theBASE https://matsunoya.thebase.in/

※このBLOGを含む松廼屋 Mats.theBASEのコンテンツは、全て、当店のeラーニング教材をご購入する可能性のあるお客様に提供する「商品の品質や内容を知っていただくことを目的とした情報開示およびサービス」です。転用・複製等の著作権違反行為はご遠慮ください。
関連するeラーニング教材はこちら▼
薬剤師国家試験対策には、このSNS eラーニングをお勧めします!
ツイッターで学ぶコースに入りませんか?
第97回薬剤師国家試験から第101回薬剤師国家試験の衛生の全過去問題(※解なしを除く)を、わかりやすい論点解説動画や最新の科学的根拠へのリンク、科学的根拠に基づくポイントのまとめ、オリジナルの美しいグラフ等でサクッと学べます。
さらに、第102回および第103回薬剤師国家試験の過去問題も追加して、4月から2018年度のカリキュラムが絶賛進行中です。
会員登録のお申込み(@MatsBlNt_witEL on Twitter)

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質1:ニトロソアミン

 こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の薬学理論問題(衛生)から食品に由来する有害物質を論点とした問題です。問98-123は、選択肢ごとにテーマ(ニトロソアミン、サイカシン、ベンゾ〔a〕ピレン、Glu-P-1、アクリルアミド)が異なるので、別々に解説します。

選択肢1. 論点:ニトロソアミン /
Q. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。A.【正|誤】|

テーマ1. ニトロソアミンの生成|
最新の詳細な情報として、J-Stageの科学文献(J-Stage|河合, ニトロソアミンの生成と代謝活性化について, 生活衛生, 22, 49-52 (1978) https://doi.org/10.11468/seikatsueisei1957.22.49 )を参考資料として解説します。上記資料によれば、ニトロソアミンは、動物実験において発がん性が認められている物質であり、生体内で亜硝酸塩とアミン類との反応によって生成される可能性が指摘されています。ニトロソアミンは、図1に示した構造式で表されます。RおよびR'ともにメチル基を有するジメチルニトロソアミン、また、エチルまたはプロピル基を有するジアルキルニトロソアミンは、肝臓、腎臓、肺、消化器官等で実験的に発がんが確認されました。図1に示したように、ニトロソアミンは、酸性条件下において亜硝酸塩と二級アミンが反応することによって生成されます。亜硝酸は、dinitrogen trioxideとなって活性化され、そのニトロ基がアミンの窒素と反応し、ニトロソアミンを生成します。この反応は酸性条件下で促進されることから、酸性である胃液内でニトロソアミン生成が起こりうると考えられます。アミンのニトロ化を促進する物質にはハロ化合物およびチオシアネートがあり、一方で、食品中のアスコルビン酸、没食子酸、システインは、ニトロ化反応を抑制する物質です。反応速度論的な視点からは、ニトロソアミン生成は2分子の亜硝酸塩と1分子のアミンとの反応であり、亜硝酸塩の濃度に対して2次反応であるため、亜硝酸の濃度が十分低ければ、ニトロソアミン生成を著しく抑えることができます。

図1 ニトロソアミンの生成 抜粋 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:J-Stage|河合, ニトロソアミンの生成と代謝活性化について, 生活衛生, 22, 49-52 (1978) https://doi.org/10.11468/seikatsueisei1957.22.49 図2

一方、唾液中や消化管のマイクロフローラ(細菌叢)によって、硝酸塩が還元され亜硝酸塩になることが報告され、硝酸塩および食品添加物である亜硝酸塩の、それぞれを合算した食品摂取量におけるリスク評価が必要であるとされました。なお、加工食品中でも高温によるニトロソアミン生成が起こる例として、ベーコンにおけるプロリンと添加物としての亜硝酸塩との反応からニトロプロリンが生成され、脱カルボニル反応によってニトロソピリジンを生成する過程が報告されています。この反応の至適温度は200℃です。

テーマ2. ニトロソアミンの発がん性|
ニトロソアミンが発がん性を示すためには、代謝活性化が必要であるとの報告があります(上記、参考資料参照)。生体内ではアルキルニトロソアミンは水酸化と脱N-アルキル化を伴って活性アルキル基(CH3+|カルボニウムイオン)を生成します。このように、ニトロソアミンはそれ自体は発がん性を示しませんが、NADPHおよび酵素の存在下で肝ミクロソーム系によって活性化されることによって、反応性に富んだelectrophilic reactant(求電子物質)であるカルボニウムイオン(CH3+)としてultimate carcinogen(究極がん原物質)となり、細胞内の核酸およびタンパク質のnucleophilic site(求核基)と反応します。

テーマ 3. 硝酸および亜硝酸の安全性評価|
最新の詳細な情報として、食品安全委員会|「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A http://www.fsc.go.jp/dial/dialqa201703211.html を参考資料として解説します。上記、食品安全委員会|「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&Aによれば、国際がん研究機関(IARC)は、人の体内でニトロソ基(-NO)が物質に付加される条件下では、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対しておそらく発がん性がある」と評価しています。野菜に含まれる硝酸塩は、ヒトの体内で消化管内に常在している微生物によって還元されて亜硝酸塩に変化する可能性があり、メトヘモグロビン血症や発がん物質のニトロソ化合物(ニトロソ基-NOをもつ有機化合物)生成に関与するおそれがあると一部で指摘されていますが、国際連合食糧農業機関(FAO) /世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA) は、「硝酸塩の主要な摂取源が野菜であることはわかっているが、野菜が人にとって有用だということもよく知られており、野菜中の硝酸塩がどの程度血液に取り込まれているのかというデータが得られていないことから、野菜中の硝酸塩について基準値を設けるのは適当でない」との見解を示しています。我が国でも硝酸塩は、元々野菜に含まれている天然の硝酸塩に起因するものがほとんどであり、添加物に由来するものはごくわずかであることが、厚生労働省の調査で確認されています。天然由来の食品に含まれる硝酸塩について、日本において基準値の設定はありません。野菜中の硝酸塩について国内における健康被害は報告されていないとのことです。一方、亜硝酸ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果とボツリヌス菌の繁殖抑制効果を有し、食肉製品の腐敗を防止する効果のある食品添加物としての成分規格・使用基準(対象食品、最大限度量)が食品衛生法で定められています。以上引用。

ポイント|
【A】と【B】からの【C】の生成は、pHが【D】で最も起こりやすい。【C】自体は【E】を示さない。【F】の存在下で【G】によって活性化されることで、細胞内の核酸およびタンパク質の【H】との反応性に富んだ【I】である【J】として【K】となる。【L】は、人の体内でニトロソ基(-NO)が物質に付加される条件下で、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対して【M】」と評価した。【A】ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果とボツリヌス菌の繁殖抑制効果を有し、食肉製品の【N】効果を有する添加物(【O】)として使用するための成分規格や使用基準(【P】)が【Q】で定められている。

A. 亜硝酸
B. 二級アミン
C. ニトロソアミン
D. 酸性側
E. 発がん性
F. NADPHおよび酵素
G. 肝ミクロソーム系
H. nucleophilic site(求核基)
I. electrophilic reactant(求電子物質)
J. カルボニウムイオン(CH3+)
K. ultimate carcinogen(究極がん原物質)
L. 国際がん研究機関(IARC)
M. おそらく発がん性がある
N. 腐敗防止
O. 食品添加物
P. 対象食品、最大限度量
Q. 食品衛生法
(その2につづく。。。)

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
 (論点:食品に由来する有害物質)

動画で論点解説しています。松廼屋オリジナルの論点解説動画をYouTubeでご覧ください。

YouTube|e-ラーニングの『松廼屋 Mats.theBASE』|概要
今日、チャンネルを確認したところ、視聴回数 10,074 回の大台に乗っていました(2018.06.01現在)
薬剤師や薬学生の真の学力アップを応援すべく作りこんでいる動画ですので、無作為な大量再生回数を単に追い求めるコンセプトは一切ないのですが、ご利用いただいていることが数値に反映していくことはうれしく思います。YouTubeの再生リスト「薬剤師国家試験対策ノート」でオリジナルのeラーニングコンテンツの一部をご紹介しています。下記の動画の途中に現れるインフォメーション(i)をタップすると再生リストへのサムネイル(リンク)が現れます。

YouTube|走る!「衛生」Twitter Ver. 食品表示法(1)|薬剤師国家試験対策ノート

YouTube|走る!「衛生」Twitter Ver. 食品表示法(2)|薬剤師国家試験対策ノート

YouTube|走る!「衛生」Twitter Ver. 食品表示法(3)|薬剤師国家試験対策ノート

YouTube|走る!「衛生」Twitter Ver. 食品表示法(4)|薬剤師国家試験対策ノート


楽しく!驚くほど効率的に。
まずは、薬剤師国家試験 必須問題で、キックオフ!走りだそう。きっと、いいことあると思う。
関連するeラーニング教材はこちら▼
薬剤師国家試験対策には、このSNS eラーニングをお勧めします!
第97回薬剤師国家試験から第101回薬剤師国家試験の衛生の全問題(※解なしを除く)を、わかりやすい論点解説動画や最新の科学的根拠へのリンク、科学的根拠に基づくポイントのまとめ、オリジナルの美しいグラフ等でサクッと学べます。
さらに、第102回および第103回薬剤師国家試験の過去問題も追加して、4月から2018年度のカリキュラムが絶賛進行中です。
会員登録のお申込み(@MatsBlNt_witEL on Twitter)

以上。BLNtより。

「薬剤師にしか、できない仕事がある。夢は、かなう。」

▼目的実現型のコンテンツ
▼企業イントラスペックの学習空間
▼PC・モバイル・スマートフォン対応

医薬系ウェブコンテンツ制作販売 松廼屋 MATSUNOYA

ECショップ 松廼屋 Mats.theBASE
URL: https://matsunoya.thebase.in/ 2017.3.11 open
mail:  info_01.matsunoya@vesta.ocn.ne.jp  (Matsunoya Client Support) 
tel: 029-872-9676
店長: 滝沢幸穂(Yukiho.Takizawa)
Twitterからの情報発信は、ほぼ毎日更新中です。
Check it out! ▼
MATSUNOYA.BlNt.Pharm(@Mats_blnt_pharm) https://twitter.com/Mats_blnt_pharm
Twitter連携-Facebookページからも情報発信しています。こちらもお気に入りに登録して、ぜひご活用ください。
facebook ショップの情報発信アカウント
 医薬系ウェブコンテンツ制作販売 松廼屋
facebook e-ラーニング教材の情報発信アカウント
 薬剤師国家試験対策ノート(@MATSUNOYA.BlNt.Pharm)

更新日:2018.08.06
制作:滝沢幸穂(Yukiho.Takizawa)phD ■Facebook プロフィール https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa

松廼屋 Mats.theBASE BLOG https://matsunoya.thebase.in/blog

※役立つ情報がいっぱい!松廼屋 Mats.theBASE BLOGをお気に入りに登録してください。

できたて論点解説を、松廼屋 Mats.theBASE BLOGで、特別大公開中!
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問122 食品表示法に基づく食品表示に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. n-3系脂肪酸、ビタミンK及びカリウムは、栄養機能食品の栄養成分として栄養機能表示が認められている。
2. 特定保健用食品において、疾病リスク低減表示が認められている関与成分には、葉酸、カルシウム及びヘム鉄がある。
3. 機能性表示食品では、科学的根拠を有する関与成分について、企業の責任において疾病リスク低減表示が認められている。
4. 食品に含まれるナトリウムは、食塩相当量ではなく、ナトリウム量として表示する。
5. 特定原材料又はL-フェニルアラニン化合物を含む加工食品では、表示可能面積が小さくても、これを含む旨の表示を省略してはいけない。
(論点:食品表示法 食品表示)>>
■ 松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問102-122【衛生】論点:食品表示法 1
問102-122【衛生】論点:食品表示法 2
問102-122【衛生】論点:食品表示法 3
問102-122【衛生】論点:食品表示法 4
問102-122【衛生】論点:食品表示法 5

できたて論点解説を、松廼屋 Mats.theBASE BLOGで、特別大公開中!
第103回薬剤師国家試験|必須問題 / 問20 業務上疾病のうち、疾病者数が最も多いのはどれか。
1. レイノー病 2. 胆管がん 3. 酸素欠乏症 4. 潜函病 5. 災害性腰痛
(論点:職業病 安全衛生関係統計・災害事例)>>
■松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問103-20【衛生】論点:職業病 1
問103-20【衛生】論点:職業病 2
問103-20【衛生】論点:職業病 3
薬剤師国家試験の論点と最新の科学的根拠をリレーション。100以上の論点にフォーカス、各設問に対して、論点をまとめた視認性の高いオリジナル画像や動画解説、そして科学的根拠として300以上の信頼しうる参考資料へのリンクをご用意しました。各問に対して素早い理解と深い学びが滑らかにつながる!2018年度のカリキュラムが始まりました。必須問題、薬学理論問題、薬学実践問題(第97回-第101回完全収納)第102回と第103回の問題の論点解説と関連する科学的根拠の原本のご紹介も追加、盛りだくさんなのに、ますます、楽しく!驚くほど効率的に。
eラーニング教材の詳細情報はこちら▼

YouTube|
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質(1)|薬剤師国家試験対策ノート