2018/09/08 18:00

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問124 Q. 食中毒に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるため、腸内細菌叢が未熟な乳児が蜂蜜を摂取すると、ボツリヌス症を発症し、呼吸困難や呼吸停止に陥ることがある。
2. 生魚摂取により生じるクドアやアニサキスなどの寄生虫による食中毒は、生魚を長時間冷凍しても防ぐことはできない。
3. ジャガイモの芽や皮の部分に多く含まれるソラニンやチャコニンは熱に不安定なため、加熱処理によりこれらによる食中毒を防ぐことができる。
4. イヌサフランの球根にはコルヒチンが含まれるため、誤食すると呼吸不全等を起こし死に至ることがある。
5. シガテラの原因となる魚類は主に熱帯から亜熱帯にかけて生息しているため、我が国ではシガテラ発症の報告はない。
 (論点:食中毒)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-124【衛生】論点:食中毒4; イヌサフラン / コルヒチン

 こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から食中毒を論点とした問題です。選択肢ごとにテーマ(ボツリヌス菌、寄生虫 / クドア・アニサキス、ソラニン・チャコニン、コルヒチン、シガテラ)が異なるので、別々に解説します。

選択肢4. 論点:イヌサフラン / コルヒチン
Q. 4. イヌサフランの球根にはコルヒチンが含まれるため、誤食すると呼吸不全等を起こし死に至ることがある。A.【正|誤】|

解説します。
第103回薬剤師国家試験問124、選択肢4(問103-124-3)は、論点「食中毒」のうち、イヌサフランコルヒチンをテーマとした正誤問題でした。最新の科学的根拠が記載された参考資料としては、厚生労働省のホームページ(HP)「厚生労働省|自然毒のリスクプロファイル 植物性自然毒 / イヌサフラン【詳細版】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058791.html 」に、情報がわかり易く整理してありました。詳細は、上記、厚生労働省HPをご参照ください。上記HPによれば、イヌサフランは、ユリ科コルチカム属の多年生球根植物で、主な中毒症状は、嘔吐・下痢・皮膚知覚減退・呼吸困難です。イヌサフランの球根は、秋にニンニク・玉ねぎ・ジャガイモと間違えて誤食され、一方、イヌサフランのは、春にギョウジャニンニク・ギボウシ・山菜と間違えて誤食されます。毒性成分はアルカロイドコルヒチンで、最小致死量は4.3 mg/50kgです。図1にイヌサフランの中毒の概要をまとめて論点解説動画としています。確認しましょう。


図1 イヌサフランによる食中毒の概要 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問124)より 出典:厚生労働省|自然毒のリスクプロファイル 植物性自然毒 / イヌサフラン【詳細版】https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058791.html、厚生労働省|食中毒>4.食中毒統計資料(3)過去の食中毒事件一覧(2015-2017) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

近年の食中毒事例を、厚生労働省|食中毒>4.食中毒統計資料(3)過去の食中毒事件一覧(2015-2017) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html から集計(※)すると、イヌサフランが原因と推定された近年の食中毒発生状況は、それぞれ、2015年には患者2名に対し死者数2名、2016年には患者7名に対し死者数2名、2017年には患者3名に対し死者数1名で、3年間の患者数の合計は12名であり、そのうち死者数は5名でした(※集計は、上記、厚生労働省の食中毒統計資料(3)から独自にデータベースを作成して、ピボットテーブルを作成することによって実施した。論点解説で使用している食中毒統計のグラフを作成できるデジタルコンテンツダウンロード商品を、ご購入いただくことができます。こちら > オリジナルデータベースとピボットテーブル・ピボットグラフが付帯 Matsunoya's original database #BlNt_Excel30001|Microsoft Excel book (731KB) & PDF (1.3MB) https://matsunoya.thebase.in/items/12058961)。イヌサフランによる食中毒は、食中毒統計における頻度は他の要因と比較して低いものの、以上の結果から明らかなように、死亡率が高い特徴があるため、季節ごとの注意喚起が大事です。イヌサフランの葉や球根の写真が上記、厚生労働省|自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058791.html に掲載されています。イヌサフランの形状を確認しておいてください。なお、コルヒチンは、痛風・家族性地中海熱治療薬として医療用医薬品として製造販売されています(PMDA|医療用医薬品 詳細表示/コルヒチン錠0.5mg「タカタ」https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/400186_3941001F1077_1_07#14 )。

(選択肢5につづく。。。問103-124【衛生】論点:食中毒 5; シガテラ| https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/09/09/140000

ポイント|
【A】は、【B】の【C】で、主な中毒症状は、【D】である。【A】の球根は、秋に【E】と間違えて誤食され、一方、葉は、春に【F】と間違えて誤食される。毒性成分は【G】の【H】で、最小致死量は【I】である。

A. イヌサフラン
B. ユリ科コルチカム属
C. 多年生球根植物
D. 嘔吐・下痢・皮膚知覚減退・呼吸困難
E. ニンニク・玉ねぎ・ジャガイモ
F. ギョウジャニンニク・ギボウシ・山菜
G. アルカロイド
H. コルヒチン
I. 4.3 mg/50kg

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問124 Q. 食中毒に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるため、腸内細菌叢が未熟な乳児が蜂蜜を摂取すると、ボツリヌス症を発症し、呼吸困難や呼吸停止に陥ることがある。
2. 生魚摂取により生じるクドアやアニサキスなどの寄生虫による食中毒は、生魚を長時間冷凍しても防ぐことはできない。
3. ジャガイモの芽や皮の部分に多く含まれるソラニンやチャコニンは熱に不安定なため、加熱処理によりこれらによる食中毒を防ぐことができる。
4. イヌサフランの球根にはコルヒチンが含まれるため、誤食すると呼吸不全等を起こし死に至ることがある。
5. シガテラの原因となる魚類は主に熱帯から亜熱帯にかけて生息しているため、我が国ではシガテラ発症の報告はない。
 (論点:食中毒)

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以上。BLNtより。

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第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)>>
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■松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質 1; ニトロソアミン
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質 2; サイカシン
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質 3; 多環芳香族炭化水素 / ベンゾ〔a〕ピレン
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質 4; ヘテロサイクリクアミン / Glu-P-1
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質 5; アクリルアミド
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図2 食中毒発生状況|疾病者数および死者数 / イヌサフラン(2015 - 2017)|厚生労働省 ※集計と作図:松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問124)より
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