2018/09/24 18:30

第99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 次の図は、ある栄養素の (A)1日摂取量の年次推移(1990年の値を 100として表示してある)及び (B)2010年における年齢層別の1日摂取量(g)を示したものである。この栄養素はどれか。

選択肢
1. 炭水化物 2. 鉄 3. カルシウム 4. タンパク質 5. ナトリウム 6. 脂質
(論点:栄養素 国民健康・栄養調査)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-123【衛生】論点:栄養素 国民健康・栄養調査

 こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から栄養素を論点とした問題です。第99回薬剤師国家試験問123(問99-123)は、栄養素のうち、厚生労働省の国民健康・栄養調査の結果の理解を、グラフで示した1日摂取量の年次推移および年齢または性別で層別した比較データから問う問題でした。国民健康・栄養調査について、最新の科学的根拠が記載された参考資料としては、厚生労働省のホームページ(HP)「厚生労働省|国民健康・栄養調査 > H24-28 xls形式の統計表 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html」および「厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 ※図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html」に、情報がわかり易く整理してありました。詳細は、上記、厚生労働省HPの国民健康・栄養調査の結果をご参照ください。栄養素全般の情報は、厚生労働省|「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html に、栄養素ごとの分類、過剰症・欠乏症、摂取基準の策定経緯等がわかり易く整理してあります。より深い学習に最適です。
設問に、アプローチしてみましょう。

図(A)は、「この栄養素」の1日摂取量年次推移(1990 - 2010)です。縦軸は1990年の値を100とした相対値です。折れ線グラフから近年10年間(2000 - 2010)をみると、やや減少傾向があり、2010年までに、おおよそ10%の減少が認められます。グラフから、この栄養素は、近年、減少傾向があることがわかりました。次に、図(B)を見ます。図(B)は、「この栄養素」の1日摂取量(2010年)を、年齢区分および性別で層別したグラフです。縦軸は1日摂取量(g)です。年齢区分で顕著な差異は認められませんが、20 - 40歳代よりも50 - 70歳代の摂取量が高い傾向を示しています。中高年での摂取がやや高めであることがわかりました。また、男女の比較では、全ての年齢区分において、男性のほうが摂取量が高いことが観察されます。以上から、栄養素のプロフィール(近年の摂取量の傾向)が見えました。しかし、ここまでの観察のみでは、栄養素を特定するのは、近年の国民健康・栄養調査の報告書作成を担当しているひとでなければ、無理です。決定的な情報は、実は、図(B)の縦軸の数値(1日摂取量|g)です。この栄養素は、2010年の平均でみると1日摂取量はおおよそ4g(4000mg)です。選択肢の栄養素を、厚生労働省|「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書の分類にしたがって分類すると、エネルギー産生栄養素である脂質、タンパク質、および炭水化物と、ミネラルであって、そのうち微量ミネラルである鉄、および多量ミネラルであるカルシウムとナトリウムに分けることができます。だいぶ、整理がついてきました。
ここまでの学習した内容をさらに論点解説動画で、厚生労働省の健康・栄養調査の結果を整理した図表から確認します(図1参照)。

図1 論点解説動画|国民健康・栄養調査の結果の解説 ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第99回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査 > H24-28 xls形式の統計表 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html、厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 ※図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html
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図1の動画で平成27年の各栄養素の1日摂取量を示しました。1日摂取量は、エネルギー産生栄養素はg単位で、ミネラルはmg単位で記憶するのがおすすめです。国民健康・栄養調査の結果(平成27年)によれば、エネルギー産生栄養素である脂質、タンパク質、および炭水化物、一方、ミネラルであって、そのうち微量ミネラルである鉄、および多量ミネラルであるカルシウムとナトリウムの、それぞれの1日摂取量(平均値)は、それぞれ、57.0 g、69.1 g、257.8 g、7.6 mg、517.3 mg、3811.0 mgであり、この結果から、設問の図(B)の1日摂取量であるおおよそ平均4g(4000mg)に近い栄養素は、ナトリウム(3811.0 mg)であることがわかります。一方、動画の中で、各栄養素の1日摂取量の年次推移を平成24年から平成28年までのデータからグラフで示しました。近年(2012 - 2016)の年次推移では、1日摂取量の減少傾向は、選択肢の栄養素の中で、ミネラルではナトリウムだけ、エネルギー産生栄養素では炭水化物だけで観察されました。よって、減少傾向が認められる栄養素は、炭水化物とナトリウムです。図2に、平成27年の各栄養素の1日摂取量と近年(平成24 年-平成28年)の年次推移を示します。参考になさってください。



図2 平成27年の各栄養素の1日摂取量および近年の年次推移(平成24 年-平成28年) ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第99回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査 > H24-28 xls形式の統計表 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html、および厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 ※図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html

なお、選択肢では問われませんでしたが、国民健康・栄養調査の結果をテーマとした場合、一般的には、食塩摂取量の1日摂取量の年次推移に注目する必要があります。食塩の1日摂取量において、食塩相当量(g)は、以下の式で表されます。

食塩相当量(g) = ナトリウム量(mg) × 2.54 / 1000 …(式)

厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 / 図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html によれば、近年11年間の食塩摂取量の推移は、平成18年の11.2 gから平成28年の9.9 gまで、11年で1.3 gの減少が認められました。また、男女を比較すると、常に男性は1日摂取量が平均よりも高く女性平均よりも低い傾向があり、平成28年では、男性 10.8 g、女性 9.2 gと、1.6 gの男女差がありました。食塩の1日摂取量の平均が平成28年では9.9 gであることと、性別による差、年次推移を確認しましょう。図3に食塩の1日摂取量と、性別による差、年次推移を上記厚生労働省HPのパワーポイントの図16-1から抜粋して示しました。なお、下記の厚生労働省のパワーポイント(厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 ※図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html)にある他のグラフ(例:喫煙率)は、実際にファイルを確認しておくとよいです。薬剤師国家試験の衛生で、厚生労働省の国民健康・栄養調査の結果を問う問題には、おそらく、このファイルに掲載されているそのままのグラフが出る場合があります。

図3 食塩の1日摂取量と、性別による差、年次推移(平成18 年-平成28年) ※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第99回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:厚生労働省|平成28年「国民健康・栄養調査」の結果 ※図表(PowerPoint形式|PPT:1,444KB) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html

ポイント|
【A】の結果(平成27年)によれば、【B】である【C】、一方、【D】であって、そのうち【E】である【F】、および【G】である【H】の【I】は、それぞれ、57.0 g、69.1 g、257.8 g、7.6 mg、517.3 mg、3811.0 mgであり、近年(平成24 年-平成28年)、【I】の減少傾向が認められる栄養素は【J】である。

A. 国民健康・栄養調査
B. エネルギー産生栄養素
C. 脂質、タンパク質、および炭水化物
D. ミネラル
E. 微量ミネラル
F.
G. 多量ミネラル
H. カルシウムとナトリウム
I. 1日摂取量
J. 炭水化物とナトリウム

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 次の図は、ある栄養素の (A)1日摂取量の年次推移(1990年の値を 100として表示してある)及び (B)2010年における年齢層別の1日摂取量(g)を示したものである。この栄養素はどれか。
選択肢
1. 炭水化物 2. 鉄 3. カルシウム 4. タンパク質 5. ナトリウム 6. 脂質
(論点:栄養素 国民健康・栄養調査)

動画で論点解説しています。松廼屋オリジナルの論点解説動画をYouTubeでご覧ください。

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以上。BLNtより。

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第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123 Q. 油脂の変敗に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. オレイン酸のみを含む油脂より、リノール酸のみを含む油脂の方が酸化されやすい。
2. 同じ条件で酸化したとき、γ-リノレン酸のみを含む油脂より、α-リノレン酸のみを含む油脂の方が、カルボニル価は著しく速く上昇する。
3. 不飽和脂肪酸を含む油脂のヨウ素価は、酸化により上昇する。
4. 酸化により油脂中の脂質ヒドロペルオキシドが増加すると、過酸化物価の測定において、滴定に要するチオ硫酸ナトリウムの量は減少する。
5. 食品添加物として添加したビタミンEは、不飽和脂肪酸を含む油脂の過酸化物価の上昇を抑制する。
(論点:油脂の変質試験法)
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問103-123【衛生】論点:油脂の変質試験法
1; 不飽和脂肪酸の自動酸化|
2; カルボニル価|
3; ヨウ素価|
4; 過酸化物価|
5; ビタミンE|
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(注)薬剤師国家試験問題および解答の原本としては、厚生労働省のホームページにあるものを参考として、独自にデータベース化したものを使用しています。参考資料:厚生労働省|第99回薬剤師国家試験問題及び解答(平成26年3月1、2日実施)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakuzaishi-kokkashiken/kakomon-99.html
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