2018/11/20 18:30

第99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1.性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で最も多く、その対策が急務となっている。
2.新規HIV感染者(平成20-24年)の大半は男性であり、感染の原因としては、同性間の性的接触によるものが最も多い。
3.B型肝炎については、輸血を介した新規の発症者も増え続けている。
4.淋菌感染症の患者数は公衆衛生の向上により30年前に比べ激減しており、平成20年以降感染の報告はない。
5.梅毒の予防に有効なワクチンが実用化されている。(論点:性感染症)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問99-128【衛生】論点:性感染症1

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から性感染症を論点とした問題です。第99回薬剤師国家試験問128(問99-128)では、性感染症から、それぞれ、
選択肢1. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 性器クラミジア感染症
選択肢2. 論点:HIV / 発生動向・感染経路
選択肢3. 論点:B型肝炎 / 感染経路・感染予防
選択肢4. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 淋菌感染症
選択肢5. 論点:梅毒 / 感染予防
に関する理解が問われました。類題に、第103回薬剤師国家試験問129(問103-129)があります。問103-129は、無料で体験していただくことができるeラーニング教材として、豊富な科学的根拠へのリンクや視認性が高いオリジナルの図表を使用したわかりやすい論点解説を公開中です。まずは、問103-129に、チャレンジして実力アップを目指しましょう。こちらから、どうぞ。
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-129【衛生】
論点:性感染症
選択肢1. 論点:HIV / 発生動向・感染経路
選択肢2. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向
選択肢3. 論点:梅毒 / 発生動向・薬物治療
選択肢4. 論点:B型肝炎 / 感染経路・感染予防
選択肢5. 論点:性感染症 / 感染症法 類型
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問103-129の学習を修了したところで、問99-128を選択肢ごとに解説します。第1回目は、選択肢1-選択肢4について解説します( https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/20/183000 )。第2回目は、選択肢5について解説します(2018年11月21日15:00公開予定  https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/21/150000 )。

選択肢1. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 性器クラミジア感染症
Q. 1. 性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で最も多く、その対策が急務となっている。A.【正|誤】

選択肢4. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 淋菌感染症
Q. 4. 淋菌感染症の患者数は公衆衛生の向上により 30年前に比べ激減しており、平成 20年以降感染の報告はない。A.【正|誤】|


選択肢2. 論点:HIV / 発生動向・感染経路
Q. 2. 新規 HIV感染者(平成 20-24年)の大半は男性であり、感染の原因としては、同性間の性的接触によるものが最も多い。A.【正|誤】|


論点解説としては、松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-129【衛生】論点:性感染症1 https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/16/140000 にグラフと解説を示していますので、参照してください。

選択肢3. B型肝炎 / 発生動向・感染経路
Q. 3. B型肝炎については、輸血を介した新規の発症者も増え続けている。A.【正|誤】|


図1 日本における輸血後肝炎発症率の推移 ※松廼屋|論点解説(第99回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問128)より 出典:厚生労働省|日本における輸血後肝炎発症率の推移

解説します。厚生労働省|日本における輸血後肝炎発症率の推移 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/1e.html によれば、日本では、1972年から輸血・血液製剤用血液のB型肝炎スクリーニング検査が開始され、HBVが混入した輸血・血液製剤用血液が患者に使用される医療事故が事前に防止されるシステムになったことなどから、現在、輸血による感染は激減しています。詳細には、1972年のHBVのHBs抗原検査導入により、日本における輸血後肝炎発症率は14.3%になったのち、1986年の400mL採血および成分採血の実施以降8.7%までに減少しました。その後、1989年にHBVのHBc抗体検査およびHCVの第1世代検査法の導入によって、輸血後肝炎発症率は2.1%になり、さらに、1992年のHCV第2世代検査法の導入によって0.48%、1999年にHBV、HCVの500プールNAT(Nucleic Acids Amplification test:核酸増幅検査)が導入され、2000年に50プールNATに変更された後、輸血後肝炎発症率は0.001%にまで減少しました。(HBs抗原|HBV感染後早期に検出される抗原で、陽性はHBVに感染している状態。HBc抗体|IgM-HBcは感染初期に検出される。HBc抗体陽性であればHBVの既往がある。)図1に、上記、厚生労働省HPから、日本における輸血後肝炎発症率の推移のグラフを抜粋して示しました。



一方、厚生労働省のHP(厚生労働省|厚生科学審議会 (感染症分科会予防接種部会) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127719.html 第11回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23.html )に掲載された資料3-5 B型肝炎ワクチンに関するファクトシート 平成22年7月7日版(PDF) https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqf.pdf によれば、2003-2008 年の6年間の発生動向調査報告数(1,300 例)について見ると、性別では男性が多く、比率は男性/女性=2.9/1でした。感染経路では、男女ともに性的接触が多く、6年間(2003-2008年)の全体のHBV報告数の61%を占めました。感染経路において性的接触の占める割合は、1999年の43%から、2007年67%、2008年 66%と増加傾向が見られました。図2に、上記、厚生労働省資料から2003-2008 年の 6 年間の発生動向調査報告数(1,300 例|性別・感染経路別)を根拠として独自にグラフ化したものを示します。



図2 急性B型肝炎報告数(感染症発生動向調査|性別・感染経路別、2003年-2008年)※松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問129)より / データソースから独自に作図 出典:厚生労働省のHP(厚生労働省|厚生科学審議会 (感染症分科会予防接種部会)第11回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料)資料3-5 B型肝炎ワクチンに関するファクトシート 平成22年7月7日版

B型肝炎は、感染症法施行(1999年4月)より、4類感染症の「急性ウイルス性肝炎」の一部として全数把握疾患となり、その後、感染症法改正(2003年11月)に伴い、急性B型肝炎は、感染症発生動向調査における全数把握5類感染症である「ウイルス性肝炎(A型肝炎及びE型肝炎を除く)」に分類されました。近年(-2015年)のB型肝炎発生動向に関しては、国立感染症研究所のHP(特集 急性B型肝炎 2006年4月-2015年12月IASR Vol. 37 p. 147-148: 2016年8月号 https://www.niid.go.jp/niid/ja/hepatitis-b-m/hepatitis-b-iasrtpc/6672-438t.html )に詳細がありました。2015年までの数年間の急性B型肝炎の報告数は年間170-240例の範囲でほぼ横ばいです。輸血による感染は減少し、性的接触による感染が約7割を占めます。20代-30代前半に年齢のピークがあることを考慮すると予防啓発を行う必要があり、一方、症例中4割は黄疸を示さず、可能性としては、肝機能異常が指摘されるまで自覚のない感染者が多いと考えられるので、機会があれば肝機能検査を受けることが望ましいとのことです。 

YouTube|※論点解説動画で予習・復習ができます。

走る!「衛生」Twitter Ver. 性感染症/第99回-問128|薬剤師国家試験対策ノート

選択肢1. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 性器クラミジア感染症
選択肢4. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向 性器クラミジア感染症
選択肢2. 論点:HIV / 発生動向・感染経路

選択肢3. 論点:B型肝炎 / 感染経路・感染予防

選択肢5. 論点:梅毒 / 感染予防


ポイント|
2010年以降、【A】感染者は、総数1000人前後で推移している。近年、報告数の【B】は、【C】で【D】を感染経路とする。
2016(平成28)年に、【E】された性感染症の報告数総数は、それぞれ、【F】感染症24,397人、【G】感染症9,175人、【H】感染症8,298人、【I】5,734人であり、一方、【J】された【K】の報告数は4,575人である。【E】されている性感染症のなかで【F】感染症が最も報告数が多い。【K】の病原体は【L】である【M】であり、治療は、【N】を有する【O】から【P】の内服を第一選択とする。【K】(【J】対象/【Q】感染症)の報告数は増加傾向にあり、2010(平成22)年時点では、【R】であった【K】感染者は、2016年には【S】に達した。2017(平成29)年は、さらに増加傾向を示し、【T】となった。

A. HIV
B. 約6割
C. 日本人男性
D. 同性間の性的接触
E. 定点報告
F. 性器クラミジア
G. 性器ヘルペスウイルス
H. 淋菌
I. 尖圭コンジローマ
J. 全数報告
K. 梅毒
L. 螺旋状菌
M. 梅毒トレポネーマ(学名:Treponema pallidum subsp. pallidum)
N. 殺菌的抗菌作用
O. ペニシリン
P. ベンジルペニシリンベンザチン
Q. 5類
R. 男性497人、女性124人、総数621人
S. 男性3,189人、女性1,386人、総数4,575人
T. 総数5,820人(暫定値)

ポイント|
【A】から【B】のB型肝炎スクリーニング検査が開始され、B型肝炎ウイルス(HBV)が混入した【B】が患者に使用される医療事故が事前に防止されるシステムになったことなどから、現在、輸血による感染は【C】している。【A】のHBVの【D】検査導入により、日本における輸血後肝炎発症率は14.3%になったのち、【E】の400mL採血および成分採血の実施以降8.7%までに減少した。その後、【F】にHBVの【G】検査・HCV第1世代検査法の導入によって、輸血後肝炎発症率は2.1%になり、さらに、【H】のHCV第2世代検査法の導入によって0.48%、【I】にHBV、HCVの500プール【J】が導入され、2000年に50プール【J】に変更された後、輸血後肝炎発症率は【K】にまで減少した。2003-2008 年の 6 年間の発生動向調査報告数(1,300例)について見ると、性別では【L】が多く、比率は男性/女性=【M】だった。感染経路では、男女ともに【N】が多く、 6 年間(2003-2008 年)の全体のHBV報告数の【O】を占めた。感染経路において【N】の占める割合は、1999年の43%から、【P】と増加傾向が見られた。

A. 1972年
B. 輸血・血液製剤用血液
C. 激減
D. HBs抗原
E. 1986年
F. 1989年
G. HBc抗体
H. 1992年
I. 1999年
J. NAT(Nucleic Acids Amplification test:核酸増幅検査)
K. 0.001%
L. 男性
M. 2.9/1
N. 性的接触
O. 61%
P. 2007年67%、2008年 66%

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で最も多く、その対策が急務となっている。
2. 新規HIV感染者(平成20-24年)の大半は男性であり、感染の原因としては、同性間の性的接触によるものが最も多い。
3. B型肝炎については、輸血を介した新規の発症者も増え続けている。
4. 淋菌感染症の患者数は公衆衛生の向上により30年前に比べ激減しており、平成20年以降感染の報告はない。
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以上。BLNtより。

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