2018/11/16 14:00
図1 HIV感染者の年次推移(国籍別、性別、感染経路別)※松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問129)より / データソースから独自に作図 松廼屋 出典:エイズ予防情報ネット|日本の状況_エイズ動向委員会報告 掲載の平成29(2017)年エイズ発生動向年報 |資料/表5 HIV感染者及びAIDS患者の年次推移(国籍別、性別、感染経路別) ※グラフ作成にはエクセルファイルの数値を用いた。
Annual trend of people infected with HIV in Japan by nationality, gender, infection route.
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問129 Q. 我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 新規HIV感染者の大半は男性であり、異性との性的接触によるものが最も多い。
2. 2010年以降、性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で淋菌感染症に次いで多い。
3. 2010年以降、梅毒の患者数が増加しているが、その治療には抗ウイルス薬ラミブジンが有効である。
4. B型肝炎ウイルスはキャリアとの性行為により感染するため、その予防にはコンドームの使用が有効である。
5. HIV感染症及び梅毒は、いずれも5類感染症の中で全数把握が必要な感染症である。
(論点:性感染症)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-129【衛生】論点:性感染症 / HIV, 梅毒, B型肝炎, 感染症法 類型, 発生動向・感染経路・感染予防
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第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問129
問103-129(論点:性感染症)を
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-129【衛生】論点:性感染症1
こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から性感染症を論点とした問題です。第103回薬剤師国家試験の問129(問103-129)では、性感染症から、それぞれ、
選択肢1. 論点:HIV / 発生動向・感染経路
選択肢2. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向
選択肢3. 論点:梅毒 / 発生動向・薬物治療
選択肢4. 論点:B型肝炎 / 感染経路・感染予防
選択肢5. 論点:性感染症 / 感染症法 類型
に関する理解が問われました。
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問103-129を、選択肢ごとに解説します。第1回目は、選択肢1-選択肢3について解説します( https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/16/140000 )。第2回目は、選択肢4-選択肢5について解説します( https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/17/080000 )。
選択肢1. 論点:HIV / 発生動向、感染経路
Q. 1. 新規HIV感染者の大半は男性であり、異性との性的接触によるものが最も多い。A.【正|誤】|
解説します。HIVの発生動向の最新の科学的根拠に関しては、エイズ予防情報ネットのホームページ(HP)「エイズ予防情報ネット|日本の状況_エイズ動向委員会報告 http://api-net.jfap.or.jp/status/index.html 」に掲載の平成29(2017)年エイズ発生動向年報 http://api-net.jfap.or.jp/status/2017/17nenpo/17nenpo_menu.html |資料/表5 HIV感染者及びAIDS患者の年次推移(国籍別、性別、感染経路別) PDF http://api-net.jfap.or.jp/status/2017/17nenpo/hyo_05.pdf に、詳細な情報がありました。上記の表5「HIV感染者及びAIDS患者の年次推移(国籍別、性別、感染経路別)」によれば、1985-2017年までに発生したHIV日本人男性および日本人女性のそれぞれの報告数の累計は、15699人および、964人であり、一方、外国人男性および外国人女性のそれぞれの報告数合計は、1771人および1462 人でした。近年、2010年以降、HIV感染者は、年間の総数としてはおおよそ1000人/年で推移しており、性別は男性、特に日本人男性で同性間の性的接触を感染経路とする報告数が多く、全体の約6割を占めます。
図1に、HIV感染者の国籍別、性別、感染経路別にみた報告数及び比率の年次推移を、上記、表5の数値を用いてグラフで示しました。
選択肢2. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向
Q. 2. 2010年以降、性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で淋菌感染症に次いで多い。A.【正|誤】|
解説します。厚生労働省のHP(厚生労働省|性感染症報告数 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html )によれば、2016(平成28)年に、定点報告された性感染症の報告数総数は、それぞれ、性器クラミジア感染症 24,397人、性器ヘルペスウイルス感染症 9,175人、淋菌感染症 8,298人、尖圭コンジローマ 5,734人であり、一方、全数報告された梅毒の報告数は4,575人です。2016(平成28)年時点で、性器クラミジア感染症は、定点報告されている中で、もっとも報告数の多い性感染症です。淋菌感染症は、近年減少傾向を示しており、また、感染者の大部分が男性という特徴があります。疾病別、性別の年間報告数総数でみると、淋菌感染症(男性)は、2016(平成28)年には6,654人であり、性器クラミジア感染症(女性)12,673人ならびに性器クラミジア感染症(男性)11,724人に次いで3位です。図2に、定点報告されている性感染症の報告数(疾病別・性別)年次推移を、上記、厚生労働省HPの2000(平成12)年-2017(平成29)年の数値を用いてグラフで示しました。
図2 性感染症報告数の年次推移/定点報告※松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問129)より / データソースから独自に作図 松廼屋 出典:厚生労働省|性感染症報告数 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
選択肢3. 論点:梅毒 / 発生動向・薬物治療
Q. 3. 2010年以降、梅毒の患者数が増加しているが、その治療には抗ウイルス薬ラミブジンが有効である。A.【正|誤】|
解説します。日本性感染症学会のHP(日本性感染症学会|性感染症診断・治療ガイドライン2016(改訂版) http://jssti.umin.jp/guideline_c.html)によれば、梅毒の病原体は螺旋状菌である梅毒トレポネーマ(学名:Treponema pallidum subsp. pallidum)です。梅毒の治療には、殺菌的に働き、耐性の報告がないペニシリンを第一に選択すべきであるとの記載があります。ベンジルペニシリンベンザチン(商品名:バイシリンG)投与が基本になります。ベンジルペニシリンベンザチンは、合成ペニシリンではなく天然であり、経験的に他のペニシリンよりも有効であるといわれています。ベンジルペニシリンベンザチン1日120万単位/分3またはアモキシシリン1日1,500mg/分3を内服させます。
厚生労働省のHP(厚生労働省|性感染症報告数 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html )によれば、梅毒(全数報告対象/5類感染症)は、近年、報告数が増加傾向にあります。2010(平成22)年時点では、男性497人、女性124人、総数621人であった梅毒感染者は、2016年には男性で3,189人、女性で1,386人にまで増加し、総数では4,575人に達しています。なお、2017(平成29)年、2018(平成30)年は、さらに増加傾向を示し、それぞれ、総数5,826人、7,001人(暫定値)となりました。図3に、全数報告されている梅毒の報告数(性別)年次推移を、上記、厚生労働省HPの2000(平成12)年-2017(平成29)年の数値を用いてグラフで示しました。
図3 梅毒の報告数年次推移/全数報告※松廼屋|論点解説(第103回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問129)
データソースから独自に作図 松廼屋
出典:厚生労働省|性感染症報告数 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
データソースから独自に作図 松廼屋
出典:厚生労働省|性感染症報告数 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
西暦|梅毒(報告数 / 人)
2012|875
2014|1,661
2016|4,575
2018|7,001
(その2 / 選択肢4-選択肢5につづく|選択肢4-選択肢5 https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/17/080000)
追記|
性感染症に関する地方自治体の取り組みに関する報告書が、国立感染症のHP(国立感染症研究所|岡山市における梅毒の発生状況(2010~2017年)および、医師への聞き取り調査で得られた梅毒患者の状況 https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m-3/syphilis-iasrs/8018-459p01.html )に掲載されていました。上記HPで引用されている岡山市における梅毒の四半期別推移(性別、年代別、感染経路別)および男性届出(異性間接触感染/風俗店利用有無)の図を抜粋して図4に示します。上記、報告書によれば、岡山県の梅毒の発生状況は2017年第3四半期において全国第2位となっており、岡山県内で増加が進んでいます。岡山市保健所が届出医師等に聞き取りを行って得た疫学情報を分析した結果、2017年の男性患者の届出78例のうち59例(75.6%)が異性間接触によるもので、女性患者の届出30例は、すべて異性間接触による感染でした。男性患者で異性間接触で感染したもののうち、「過去数か月以内に風俗店の利用のあった男性」は、2016年以降、増加が続いており、2017年で71.2%(42例/59例)でした。職業については女性の25.9%がCSW(コマーシャルセックスワーカー)でした。岡山市では、取り組みとして、20代の女性患者が増加していることを受け、女性向けにデザインした「性感染症検査・相談普及啓発カード」(名刺大・2つ折り)を作成し、岡山でも梅毒が急増し、梅毒が経口のみでも感染し得ること、梅毒検査が保健所でHIV検査と同時に無料で受けられることなどを記載した、などの対策を行っているとのことです。詳細は、上記、国立感染症研究所HPの岡山市保健所の報告書を参照してください。
A. 梅毒の四半期別推移(性別、年代別)男性
B. 梅毒の四半期別推移(性別、年代別)女性
C. 梅毒の四半期別推移(性別、年代別)男性/風俗店利用の有無
図4 岡山市における梅毒の発生状況(2010~2017年)および、医師への聞き取り調査で得られた梅毒患者の状況 出典:国立感染症研究所|岡山市における梅毒の発生状況(2010~2017年)および、医師への聞き取り調査で得られた梅毒患者の状況
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選択肢1. 論点:HIV / 発生動向、感染経路
選択肢2. 論点:性感染症 / 疾病別の発生動向
選択肢3. 論点:梅毒 / 発生動向・薬物治療
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選択肢4. 論点:B型肝炎 / 感染経路・感染予防
選択肢5. 論点:性感染症 / 感染症法 類型
ポイント|
2010年以降、【A】感染者は、総数1000人前後で推移している。近年、報告数の【B】は、【C】で【D】を感染経路とする。
2016(平成28)年に、【E】された性感染症の報告数総数は、それぞれ、【F】感染症24,397人、【G】感染症9,175人、【H】感染症8,298人、【I】5,734人であり、一方、【J】された【K】の報告数は4,575人である。【E】されている性感染症のなかで【F】感染症が最も報告数が多い。【K】の病原体は【L】である【M】であり、治療は、【N】を有する【O】から【P】の内服を第一選択とする。【K】(【J】対象/【Q】感染症)の報告数は増加傾向にあり、2010(平成22)年時点では、【R】であった【K】感染者は、2016年には【S】に達した。2017(平成29)年は、さらに増加傾向を示し、【T】となった。
A. HIV
B. 約6割
C. 日本人男性
D. 同性間の性的接触
E. 定点報告
F. 性器クラミジア
G. 性器ヘルペスウイルス
H. 淋菌
I. 尖圭コンジローマ
J. 全数報告
K. 梅毒
L. 螺旋状菌
M. 梅毒トレポネーマ(学名:Treponema pallidum subsp. pallidum)
N. 殺菌的抗菌作用
O. ペニシリン
P. ベンジルペニシリンベンザチン
Q. 5類
R. 男性497人、女性124人、総数621人
S. 男性3,189人、女性1,386人、総数4,575人
T. 総数5,820人(暫定値)
では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問129 Q. 我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 新規HIV感染者の大半は男性であり、異性との性的接触によるものが最も多い。
2. 2010年以降、性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で淋菌感染症に次いで多い。
3. 2010年以降、梅毒の患者数が増加しているが、その治療には抗ウイルス薬ラミブジンが有効である。
4. B型肝炎ウイルスはキャリアとの性行為により感染するため、その予防にはコンドームの使用が有効である。
5. HIV感染症及び梅毒は、いずれも5類感染症の中で全数把握が必要な感染症である。
(論点:性感染症)※できたて論点解説、大公開中▼
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