2019/02/20 14:45

第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問135 Q. 化学物質A-Dおよび「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1. 化学物質A、B、Cは、いずれも第1種特定化学物質である。
2. 化学物質Dは第1種特定化学物質であるが、特定の用途においては代替品がないので、環境汚染のおそれがない場合に限り、例外的に使用が認められている。
3. 第2種特定化学物質は、難分解性、低蓄積性で、ヒトおよび生活環境動植物への長期毒性をもつ化学物質である。
4. 化学物質Aは油症事件で問題になった物質で、この事件は化審法制定の契機となった。
5. 監視化学物質とは、分解性があり、蓄積性が認められなくても、ヒトへの長期毒性または生活環境動植物ヘの長期毒性のおそれのある化学物質のことである。
(論点:化審法)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-135【衛生】論点:化審法1

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)e-Gov 法令データ検索|化審法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=348AC0000000117 〔文献1〕を論点とした問題です。新薬剤師国家試験(97回-103回)に合計5問出題されました。化学物質の審査および製造等の規制を定めた化審法は、薬剤師国家試験において頻出する重要な論点です。化審法を論点とする問題(問99-21、100-21、101-23、97-134、102-135)から、第102回薬剤師国家試験 問135(問102-135)を解説します。

論点解説を無料で体験していただけます。苦手意識があるヒトも、この機会に、化審法の基礎を一緒に完全攻略しましょう! 2回にわたってお届けします。このBLOGでは、第1回の論点解説をお届けします。
目次|
1|化審法 / 化学物質の分類 第1種特定化学物質、第2種特定化学物質
2|選択肢の各化学物質について

1|化審法 / 化学物質の分類 第1種特定化学物質、第2種特定化学物質

化審法における用語の定義について解説します。化審法の論点を認識するために、まず、化審法の沿革を知っておくとよいです。化審法の逐条解説(経済産業省|化審法とは>法令集・逐条解説 逐条解説 PDF) http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/about/laws.html#section3 〔文献2〕がわかり易いので、引用して解説します。逐条解説「はじめに」の項に、昭和40年代のポリ塩化ビフェニル (PCB|polychlorobiphenyl)による環境汚染を契機として、有用な化学物質の利用に起因する人の健康被害を防止する観点から、昭和48年に本法が制定されたとの記載があります。1968(昭和43)年に、熱媒体として製造過程において使用されたPCBが食用油に混入し、健康被害を発生させました。PCBによる健康被害、カネミ油症事件です。その後、様々な生物・母乳等からPCBが検出され、難分解で蓄積性があり長期毒性が判明したPCBによる環境汚染が社会問題となりました。この1960年代から1970年代にかけてのPCBによる環境汚染という契機があり制定された化審法には、PCBに類似した性状を有する化学物質について製造・輸入・使用等の規制を行う一面があります。PCBは規制の分類で第1種特定化学物質とされています。PCB類似の三つの性状、すなわち、「難分解性」、「高蓄積性」および「長期毒性(人または高次捕食動物)」を有することは、第1種特定化学物質に分類され規制を受ける化合物の要件です。さらに、化審法では、上市後化学物質の継続的管理措置の一環として、製造・輸入数量からリスクを優先評価する物質を優先評価化学物質に指定し、リスク評価に必要な情報を収集して、その評価結果に基づき、必要に応じて優先評価化学物質を第2種特定化学物質等に指定します。具体的には、難分解・高蓄積ではない化学物質の場合に、高蓄積性を有さないものの、長期毒性(人または生活環境動植物)を有する化学物質のうち、相当広範な地域の環境において相当程度環境中に残留(またはその見込み)があるものを第2種特定化学物質として指定し、環境中への放出を抑制します。


第1種特定化学物質に関する規制においては、ポリ塩化ビフェニル(PCB)類似の三つの性状、「難分解性」、「高蓄積性」および「長期毒性(人または高次捕食動物)」を有する化学物質を第1種特定化学物質として指定し、環境中への放出を回避します。一方、長期毒性は明らかになっていないが、難分解性および高蓄積性を有する上市化合物を、三大臣が「監視化学物質」に指定したのち、製造・輸入数量の監視を行い、一定の場合には有害性調査指示を行い、長期毒性を有することが明らかになれば、第1種特定化学物質に指定します。いずれの場合にも、三大臣は、関係する審議会等(具体的には、厚生労働大臣は薬事・食品衛生審議会、経済産業大臣は化学物質審議会、環境大臣は中央環境審議会)の意見を聴き速やかに第1種特定化学物質に指定するとされます。


追記 / 改正化審法の構成|
化審法の最新の改正は、2009(平成21)年の改正です。平成21年改正化審法は、三部構成でできています。法の構成を覚えましょう。その三部構成は、①新規化学物質に関する審査および規制(いわゆる事前審査制度)、②上市後化学物質に関する継続的管理措置、③化学物質の性状等に応じた規制、です。すなわち、化審法の全体像は、第一に、新規化学物質は規制の対象となる化学物質であるか否かを審査によって判定するまでは、その製造・輸入ができないという「事前審査制度(①)」、第二に、「一般化学物質」等について、一定数量以上の製造・輸入を行った事業者に届出義務を課し、製造・輸入数量等を踏まえ、リスクを優先評価する化学物質を「優先評価化学物質」に指定、リスク評価結果に基づき、必要に応じて「第2種特定化学物質」等に指定、規制が講じられる制度「継続的管理措置(②)」、第三に、性状(分解性蓄積性、人への長期毒性、動植物への毒性)、環境中の残留状況に着目し、それらに応じて規制の程度や態様を異ならせ、規制は、新規化学物質に限定されるものではなく、既存化学物質についても、による安全性点検等の結果、要件に該当する性状が判明すれば所要の規制が講じられる制度(③)、という構成でできています。
(論点解説、次回は選択肢の各化学物質について解説します。|2019/02/21 AM 06:00公開!)
ポイント|
【A】化学物質の【B】措置の一環として、【C】から、【D】を【E】する物質を【E】化学物質に指定、【D】評価に必要な情報を収集し、その評価結果に基づき、必要に応じて【E】化学物質を【F】化学物質等に指定する。具体的には、【G】の性状を有さないものの、【H】(【I】)を有する化学物質のうち、【J】な地域の環境において相当程度【K】またはその見込みがあるものを【F】化学物質として指定する。
【L】化学物質に関する規制においては、【M】類似の三つの性状、「【N】」、「【G】」および「【H】(【O】)」を有する化学物質を【L】化学物質として指定する。一方、【H】は明らかになっていないが、【N】および【G】を有する上市化合物を、三大臣が「【P】化学物質」に指定したのち、製造・輸入数量の【P】を行い、一定の場合には【Q】調査指示を行い、【H】を有することが明らかになれば、【L】化学物質に指定する。いずれの場合にも、三大臣は、関係する【R】等(具体的には、【S】大臣は【T】【R】、【U】大臣は化学物質【R】、【V】大臣は【W】【R】)の意見を聴き、速やかに【L】化学物質に指定するとされる。

A. 上市後
B. 継続的管理
C. 製造・輸入数量
D. リスク
E. 優先評価
F. 第2種特定
G. 高蓄積性
H. 長期毒性
I. 人または生活環境動植物
J. 相当広範
K. 環境中に残留
L. 第1種特定
M. ポリ塩化ビフェニル(PCB)
N. 難分解性
O. 人または高次捕食動物
P. 監視
Q. 有害性
R. 審議会
S. 厚生労働
T. 薬事・食品衛生
U. 経済産業
V. 環境
W. 中央環境 

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問135 Q. 化学物質A-Dおよび「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1. 化学物質A、B、Cは、いずれも第1種特定化学物質である。
2. 化学物質Dは第1種特定化学物質であるが、特定の用途においては代替品がないので、環境汚染のおそれがない場合に限り、例外的に使用が認められている。
3. 第2種特定化学物質は、難分解性、低蓄積性で、ヒトおよび生活環境動植物への長期毒性をもつ化学物質である。
4. 化学物質Aは油症事件で問題になった物質で、この事件は化審法制定の契機となった。
5. 監視化学物質とは、分解性があり、蓄積性が認められなくても、ヒトへの長期毒性または生活環境動植物ヘの長期毒性のおそれのある化学物質のことである。
(論点:化審法)
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