2019/02/06 11:00



第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問133 Q. アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示す農薬として、我が国で用いられているのはどれか。

(論点:有害化学物質 / 農薬)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-133【衛生】論点:有害化学物質 / 農薬2

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から、有害化学物質を論点とした問題です。第103回薬剤師国家試験【衛生】薬学理論問題の問133(問103-133|論点:有害化学物質 / 農薬)では、有害化学物質である農薬の中毒および化学構造式に関する理解が問われました。
論点解説を無料で体験していただけます。苦手意識がある人も、この機会に、有害化学物質(農薬)の基礎を一緒に完全攻略しましょう!論点別に、連続して2回にわたって解説します。このBLOGでは、第2回の論点解説をお届けします。
第1回 2019/02/05 19:00 公開 https://matsunoya.thebase.in/blog/2019/02/05/190000
第2回 2019/02/06 11:00 公開 https://matsunoya.thebase.in/blog/2019/02/06/110000

目次|
1. アセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を示す農薬|
2. それぞれの選択肢の化合物について|

問103-133 論点:有害化学物質 / 農薬 / 中毒・化学構造式|Q. アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示す農薬として、我が国で用いられているのはどれか。【選択問題】

2. それぞれの選択肢の化合物について|

選択肢のすべての化学構造式の化合物について、簡単に解説します。すでに前述したように、化学構造式2は、 BPMC(別名:フェノブカルブ / 分類:カーバメート系農薬)化学構造式5は、MEP(別名:フェニトロチオン / 分類:有機リン系農薬)です。有機リン系農薬およびカーバメート系農薬は、アセチルコリンエステラーゼ活性を阻害する農薬です。

一方、化学構造式4は、リン酸炭素との結合(P-C)を持ちますが、有機リン系農薬には分類されていません。この化学物質は、グリホサート剤(除草剤)に分類されるグリホサート(IUPAC名:2-(phosphonomethylamino)acetic acid / 分類:グリホサート剤)です。グリホサートの化学構造の特徴としては、グリシンの窒素原子上にホスホノメチル基が置換した構造を覚えてください。中毒症状の作用機序にアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用はありません。中毒症状は、粘膜刺激・腐食作用、血管透過性亢進作用、高カリウム血症(カリウム塩製剤)などです(文献1)。グリホサートは最も一般的な除草剤のひとつで、「ラウンドアップ」の商品名でモンサント社(アメリカ合衆国、※バイエル社(ドイツ)の子会社)から販売されています。除草剤としての作用機序としては、5-enolpyruvyl-3-shikimate phosphate synthase (EPSPS) を標的とする唯一の農薬です。参考資料では、PubChemに化合物情報がわかりやすくまとまっていると思います。PubChem|Glyphosate https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/3496#section=Top

遺伝子組み換え食品の安全性審査状況の視点からは、近年、除草剤グリホサート耐性ダイズなど、遺伝子組み換え操作によって、グリホサートに対して耐性を持たせ、生産効率を向上させた(除草剤グリホサートを散布しても枯れない)農作物である「遺伝子組み換え食品」の審査が数多く行われています(厚生労働省|遺伝子組換え食品 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/idenshi/index.html 安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧 PDF https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000470346.pdf )。さらに、最近の話題としては、残留農薬基準や農薬登録に関連して、発がん性の有無が議論になっている農薬として覚えておきましょう。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)は、2015年5月、グリホサートを as probably carcinogenic to humans (Group 2A)に分類しました。参考資料としては、IARC|IARC Monograph on Glyphosate https://www.iarc.fr/featured-news/media-centre-iarc-news-glyphosate/ に詳細な説明がありました。Twitterでニュースフィードを見ていると、グリホサート剤であるラウンドアップ(Roundup)は、ヨーロッパや米国でしばしば話題に挙がる農薬となっています。発がん性が疑われる化合物であるグリホサートが、食品に残留していてよいかどうか(シリアルへの残留など)、また、環境や健康の観点から、農作物に対して散布され続けてよいかどうかという観点からの議論だと推察します。

化学構造式1は、ペンタクロロフェノール(IUPAC名:2,3,4,5,6-pentachlorophenol / 分類:有機塩素系農薬)です。農薬登録は失効しているので、日本で農薬として用いられることはありません。ダイオキシン類を発生する可能性のある農薬です。参考資料としては、国立医薬品食品衛生研究所|国際化学物質安全性カード http://www.nihs.go.jp/ICSC/
 ペンタクロロフェノール http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=0069&p_version=2 にまとまった情報がありました。

化学構造式3は、サリン(IUPAC名:2-[fluoro(methyl)phosphoryl]oxypropane / 分類:神経ガス・化学兵器)です。強力なアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を有する有機リン系化合物であり、神経毒性のある化学兵器(神経ガス)です。日本国内では、松本サリン事件(1994年(平成6年)6月27日)、地下鉄サリン事件(1995年(平成7年)3月20日)において、テロに使用されたことは記憶に新しいです。

化学構造式の特徴とIUPAC名を覚えておくと、問103-133の論点へのアプローチが可能になります。リン酸のリン(P)にフッ素(F)が結合(P-F)していること、リン酸のリン(P)にメチル(CH3)が結合(P-CH3)していること、および、リン酸の酸素(O)にプロピル基が2位で結合して、オキシプロパンの基本骨格を有することを特徴とします。つまり、フッ素原子を有する化合物で、methylphosphonofluoridic acid のイソプロピルエステルであることが特徴です。

参考資料としては、PubChemに化合物情報がわかりやすくまとまっていると思います。立体構造をPubChem 3D viewerで確認して、後述のアセチルコリン(神経伝達物質)とどこが類似しているのか比較してみるとわかりやすいです。
サリンのヒトにおける致死量は、0.01 mg / kg未満と推定され、極めて活性の高いアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有します。その作用機序は、有機リン系農薬パラチオン(農薬登録失効)の中毒と類似するものの、サリンの中毒のほうがより重篤です。致死量の吸収後15分以内に死亡するとの記載がありました(EPA、1998)。

最後に、神経伝達物質であるアセチルコリン(IUPAC名:2-acetyloxyethyl(trimethyl)azanium)の化学構造式を確認しておきます。アセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を持つ有機リン系化合物やカーバメート系農薬と、化学構造を PubChem 3D viewer で比較し、どこが類似するのか確認してみてください。参考資料としては、PubChemに化合物情報がわかりやすくまとまっていると思います。
追記|
問103-133は、アプローチが難しい問題でした。第1回、第2回の論点解説から、ポイントを掴んでいただけたでしょうか。出題された化学物質は全て有害化学物質に分類されます。化学構造の基本骨格等の特徴と、その化合物が何に分類されるか、また、毒性や薬理作用の作用機序の概要および衛生や環境という公衆衛生や社会におけるインパクトの視点からのその化合物の位置づけを整理して覚えておくと役に立つと思います。
(完。。|第1回の論点解説はこちら https://matsunoya.thebase.in/blog/2019/02/05/190000
YouTube|※論点解説動画で予習・復習ができます。
走る!「衛生」Twitter Ver. 有害化学物質/第103回-問133|薬剤師国家試験対策ノート



ポイント|
【A】を中毒症状の作用機序とする農薬は、【B】および【C】である。中毒症状は、軽症で【D】、軽度の【E】、中等症で【E】、【F】などが認められ、重症では、失禁、【E】、【G】が認められる。【B】の中毒の治療法は【H】であり、一方、【C】の中毒の治療法は【I】である。
【B】の化学構造の特徴は、【J】と【K】との結合(【L】)が存在することである。【C】の化学構造の特徴は、基本骨格に【M】の【N】が存在することである。

A. アセチルコリンエステラーゼ活性阻害
B. 有機リン系農薬
C. カーバメート系農薬
D. 発汗・流涎・悪心・嘔吐
E. 縮瞳
F. 筋けいれん、血圧上昇、頻脈、言語障害
G. 気管支分泌増加、湿性ラ音、肺水腫、呼吸困難、全身けいれん、呼吸筋麻痺、意識混濁、昏睡、体温上昇(37 - 38℃)
H. アトロピン・プラリドキシム(PAM)併用療法
I. アトロピン療法
J. リン酸
K. 炭素
L. P-C結合、P-O-C結合
M. カルバミン酸(H2N-C(=O)OH)
N. エステル(-N-COO-R)

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問133 Q. アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示す農薬として、我が国で用いられているのはどれか。
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以上。BLNtより。


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