2018/11/10 16:00

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。
2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。
3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。
4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。
5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。
(論点:予防接種法)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-128【衛生】論点:予防接種法2

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から予防接種法を論点とした問題です。第103回薬剤師国家試験問128(問103-128)は、予防接種法から、それぞれ、努力義務・勧奨接種 / A類疾病・B類疾病、先天性風疹症候群、インフルエンザワクチン / 定期の予防接種、ポリオワクチン / 弱毒生ワクチン・不活化ワクチン、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)に関する理解を問われました。

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問103-128を、選択肢ごとに解説します。第1回目は、選択肢1-選択肢3について解説しました( https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/09/174500 )。第2回目は、選択肢4-選択肢5について解説します( 11/10(Sat) 16:00 公開! https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/10/160000 )。

選択肢4. 論点:ポリオワクチン / 弱毒生ワクチン・不活化ワクチン
Q. 4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。A.【正|誤】|

解説します。厚生労働省のHP(厚生労働省|ポリオとポリオワクチンの基礎知識 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/qa.html )によれば、急性灰白髄炎(ポリオ)はポリオウイルスが引き起こす感染性疾患で、人から人へ感染し、主症状は運動神経麻痺です。日本では、1960(昭和35)年に、ポリオ患者の数が5千人を超え、かつてない大流行となりましたが、生ポリオワクチンの導入により、流行はおさまりました。1980(昭和55)年の1例を最後に、現在まで、野生のポリオウイルス(※ワクチンによらない)による新たな患者はみられません。その後、2012(平成24)年9月1日には生ポリオワクチンの定期の予防接種が中止され、代わりに、不活化ポリオワクチンの定期の予防接種が導入されました。

生ポリオワクチンは、ポリオウイルスの病原性を弱毒化して製造したもので、免疫をつける力が優れている一方で、まれにポリオにかかったときと同じ症状が出ることがあります。生ワクチンには、その他、麻しん・風しんの弱毒生ワクチン、結核のBCGの弱毒生ワクチンがあります。他方、不活化ポリオワクチンは、不活化したウイルスから免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くしてつくったものです。ウイルスとしての働きはないので、ポリオと同様の症状が出るという副反応はありません。ただし、発熱など副反応が生じることがあります。不活化ポリオワクチンの他、百日せき・日本脳炎のワクチンが不活化ワクチンです。

不活化ポリオワクチンの標準的な接種年齢および回数・間隔は、次のとおりです。 
初回接種3回|「生後3-12か月」に3回|間隔は20-56日間
追加接種1回|初回接種終了後「12-18か月後」に1回
※定期の予防接種の対象者|生後3か月から生後90か月に至るまでの間 出典:予防接種法施行令第1条の3

選択肢5. 論点:MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)
Q. 5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。A.【正|誤】|


解説します。厚生労働省|麻しんについて https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html によれば、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)は、単独ワクチンと同様、麻しんの予防対策において効果が期待されます。また、麻しんワクチンの替わりにMRワクチンを接種しても、健康への影響に問題はなく、風しんの予防につながる利点があります。ただし、MRワクチンは、生ワクチンであるため、胎児への影響を避ける目的で、妊娠している女性は接種不適当者とされています。また、妊娠していない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。麻しん単独ワクチン、風しん単独ワクチンも生ワクチンなので、同様に、妊娠している女性は接種不適当者とされています。また、妊娠していない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。

一方、MMR(麻しん・流行性耳下腺炎・風しん混合)ワクチンは、1989(平成元)年に日本に導入されましたが、比較的高頻度で無菌性髄膜炎が発生したことなどから1993(平成5)年以降、ワクチンの使用が見合され、現在では、単味の流行性耳下腺炎ワクチンが、任意の予防接種の場合のみ使用されています(厚生労働省|予防接種に関する検討会 中間報告書 平成17年3月 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/03/dl/h0331-7a.pdf)。厚生労働省|おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184908_1.pdf によれば、日本小児科学会等の参加学術団体(17団体)から、2018(平成30)年5月14日、上記要望書が厚生労働省健康局健康課長宛てに提出されました。要望書によれば、流行性耳下腺炎(ムンプス|おたふくかぜ)が近年、数年ごとに大規模な流行を繰り返しており、この理由には、流行性耳下腺炎(ムンプス|おたふくかぜ)ワクチンが任意の予防接種であるため、予防接種率が30-40%と低迷し、感受性者が多数存在することが大きな要因であるとされています。ムンプス難聴は重篤な合併症であり、予防接種を行うことにより、減少させることが可能であるため、学術団体は、現在、新規MMRワクチンは開発途上である事情も鑑み、現状のワクチンの持つメリットから、流行性耳下腺炎(ムンプス|おたふくかぜ)の予防接種を定期の予防接種とする制度の確立を検討することを要望しています。
(第2回目 / 完。。。※第1回目の論点解説はこちらから https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/09/174500
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選択肢1. 論点:努力義務・勧奨接種 / A類疾病・B類疾病

選択肢2. 論点:先天性風しん症候群
選択肢3. 論点:インフルエンザワクチン / 定期の予防接種

選択肢4. 論点:ポリオワクチン / 弱毒生ワクチン・不活化ワクチン
選択肢5. 論点:MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)


ポイント|
日本では、【A】年に、ポリオ患者数が5千人を超え、かつてない大流行となったが、【B】の導入により、流行はおさまり、【C】年の1例を最後に、現在まで、野生のポリオウイルス(※ワクチンによらない)による新たな患者はみられない。【D】から【B】の【E】は中止され、【F】の【E】が導入された。【B】は、ポリオウイルスの【G】したもので、免疫をつける力が優れている一方で、まれにポリオにかかったときと同じ症状が出ることがある。

A. 1960(昭和35)
B. 生ポリオワクチン
C. 1980(昭和55)
D. 2012(平成24)年9月1日
E. 定期の予防接種
F. 不活化ポリオワクチン
G. 病原性を弱毒化して製造

ポイント|
【H】は、【I】の予防対策として単独ワクチンと同様の効果が期待される。【I】ワクチンの替わりに【H】を接種しても、健康への影響に問題はなく、【J】の予防につながる利点がある。ただし、【H】は、【K】で、胎児への影響を避けるため、【L】は接種不適当者とされている。妊娠していない場合であっても、接種後【M】が必要である。
一方、【N】は、【O】に日本に導入されたが、比較的高頻度で【P】が発生したことなどから【Q】以降、ワクチンの使用が見合され、現在では、単味の【R】が、【S】の場合のみ使用されている。

H. MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)
I. 麻しん
J. 風しん
K. 生ワクチン
L. 妊娠している女性
M. 2カ月程度の避妊
N. MMR(麻しん・流行性耳下腺炎・風しん混合)ワクチン
O. 1989(平成元)年
P. 無菌性髄膜炎
Q. 1993(平成5)年
R. 流行性耳下腺炎ワクチン
S. 任意の予防接種

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。
2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。
3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。
4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。
5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。
(論点:予防接種法)
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