2018/11/09 17:45

第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。
2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。
3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。
4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。
5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。
(論点:予防接種法)

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-128【衛生】論点:予防接種法1

こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から予防接種法を論点とした問題です。第103回薬剤師国家試験問128(問103-128)は、予防接種法から、それぞれ、努力義務・勧奨接種 / A類疾病・B類疾病、先天性風疹症候群、インフルエンザワクチン / 定期の予防接種、ポリオワクチン / 弱毒生ワクチン・不活化ワクチン、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)に関する理解を問われました。

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問103-128を、選択肢ごとに解説します。第1回目は、選択肢1-選択肢3について解説します( https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/09/174500 )。第2回目は、選択肢4-選択肢5について解説します( 11/10(Sat) 16:00 公開予定! https://matsunoya.thebase.in/blog/2018/11/10/160000 )。

選択肢1. 論点:努力義務・勧奨接種 / A類疾病・B類疾病
Q. 1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。A.【正|誤】|


解説します。予防接種法に関しては、電子政府の総合窓口e-Gov 法令検索のホームページ(HP) http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/ から予防接種法の原文( http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000068 )を全文閲覧することができます。予防接種法第2条第3項によれば、「B類疾病」とは、次に掲げる疾病のことです。

予防接種の勧奨および予防接種を受ける努力義務に関しては、それぞれ、予防接種法第8条および第9条に規定があります。A類疾病の定期ならびに臨時の予防接種は、市町村長又は都道府県知事が勧奨し、対象者は、「予防接種を受ける努力義務」があります。一方、B類疾病定期の予防接種に関しては、対象者は、「予防接種を受ける努力義務」がありません。


厚生労働省のHP(厚生労働省|予防接種情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html 定期接種実施要領 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000191712.pdf )によれば、B類疾病定期の予防接種を行う際は、接種を受ける法律上の義務はなく、かつ、自らの意思で接種を希望する者のみに接種を行うものであることを明示すること、ならびに、B類疾病の定期の予防接種の実施に際しては、接種を受ける法律上の義務がないことから、対象者が自らの意思で接種を希望していることを確認すること、法の趣旨を踏まえ、積極的な接種勧奨とならないよう特に留意すること、との記載があります。

選択肢2. 論点:先天性風しん症候群
Q. 2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。A.【正|誤】|


解説します。風しんは予防接種法に規定されたA類疾病のひとつです。厚生労働省のHP(厚生労働省|予防接種情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html 風しんに関する特定感染症予防指針(平成26年3月28日)PDF https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/dl/yobou140529-3.pdf )によれば、風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風しんウイルスによる感染性疾患で、一般的に症状は軽症で予後良好ですが、罹患者の5,000-6,000人に1人程度が脳炎や血小板減少性紫斑病を発症し、また、妊婦が妊娠20週頃までに感染すると、白内障、先天性心疾患、難聴等を特徴とする先天性風しん症候群の児が生まれる可能性があります。

指針の3.「予防接種法に基づく予防接種の一層の充実」によれば、定期の予防接種は、「生後12月から生後24月」に至るまでの間と「小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日」までの間にある5歳以上7歳未満に対し行います。また、定期の予防接種の対象者となってからの初めの3月の間に、特に「積極的な勧奨」を行うものとしています。さらに、指針の4.「予防接種法に基づかない予防接種の推奨」によれば、妊娠を希望する女性及び抗体を保有しない妊婦の家族等のうち、罹患歴又は予防接種歴が明らかでない者に対し、風しん抗体検査・予防接種の推奨を行う必要があるとされ、その他、昭和37年度から平成元年度に出生した男性及び昭和54年度から平成元年度に出生した女性は、幼少期に自然感染しておらず、定期の予防接種を受ける機会がなかったか、接種を受けていなかった割合が他の年齢層に比べて高いことから、さらに、医療関係者、児童福祉施設等の職員、学校等の職員等は幼児、児童、体力の弱い者等の風しんに罹患すると重症化しやすい者や妊婦と接する機会が多いこと、および、海外に渡航する者は、海外の風しん流行地域で罹患者と接する機会があることから、罹患歴又は予防接種歴が明らかでない者に対し、 風しん抗体検査や予防接種の推奨を行う必要があるとされています。

選択肢3. 論点:インフルエンザワクチン / 定期の予防接種
Q. 3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。A.【正|誤】|

解説します。インフルエンザは、予防接種法の規定ではB類疾病に分類されます。厚生労働省のHP(厚生労働省|予防接種情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html 定期接種実施要領 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000191712.pdf )によれば、予防接種法に基づくインフルエンザの定期の予防接種は、次に掲げる者に対し、インフルエンザ HA ワクチンを使用し、毎年度1回行うこと、とされています。

以上の規定は、(市町村長が予防接種を行う疾病及びその対象者)予防接種法施行令 第一条の三にあります。表に記載のある疾病および定期の予防接種の対象者は、薬剤師国家試験の衛生において論点になることがあります。表から、それぞれの疾病と対象者(予防接種の時期)を確認しておくことをお勧めします。
予防接種法施行令 第一条の三 / 出典:e-Gov| 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323CO0000000197

(その2 / 選択肢4-選択肢5につづく。。。)
YouTube|※論点解説動画で予習・復習ができます。
走る!「衛生」Twitter Ver. 予防接種法/第103回-問128|薬剤師国家試験対策ノート
選択肢1. 論点:努力義務・勧奨接種 / A類疾病・B類疾病

選択肢2. 論点:先天性風しん症候群
選択肢3. 論点:インフルエンザワクチン / 定期の予防接種

選択肢4. 論点:ポリオワクチン / 弱毒生ワクチン・不活化ワクチン
選択肢5. 論点:MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)


ポイント|
予防接種法の【A】は、予防接種を受ける【B】があり、積極的な【C】を行うこととされている。一方、【D】の定期接種の実施に際しては、接種を受ける【E】ことから、対象者が自らの意思で【F】していることを【G】すること、法の趣旨を踏まえ、積極的な【C】とならないよう特に留意すること、とされる。

A. A類疾病
B. 努力義務
C. 接種勧奨
D. B類疾病
E. 法律上の義務がない
F. 接種を希望
G. 確認

ポイント|
風しんは予防接種法に規定された【A】のひとつで、【H】を特徴とする風しんウイルスによる感染性疾患である。一般的に症状は軽症で予後良好だが、妊婦が【I】頃までに感染すると、【J】等を特徴とする【K】の児が生まれる可能性がある。

H. 発熱、発疹、リンパ節腫脹
I. 妊娠20週
J. 白内障、先天性心疾患、難聴
K. 先天性風しん症候群

ポイント|
インフルエンザは、予防接種法の規定では【D】に分類される。予防接種法に基づくインフルエンザの【L】は、【M】を毎年度【N】、対象は【O】の者、および、【P】の者であって、【Q】の機能に自己の身辺の【R】される程度の障害を有する者及び【S】により【T】の機能に【U】な程度の障害を有する者を対象者とする。

L. 定期の予防接種
M. インフルエンザHAワクチン
N. 1回接種
O. 65歳以上
P. 60歳以上65歳未満
Q. 心臓、腎臓または呼吸器
R. 日常生活活動が極度に制限
S. ヒト免疫不全ウイルス
T. 免疫
U. 日常生活がほとんど不可能

では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問128 Q. 予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢
1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。
2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。
3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。
4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。
5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。
(論点:予防接種法)
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