2019/02/09 17:45
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問134 Q. ある農薬を様々な濃度で餌に混ぜ、ラットに2年間与え、慢性毒性を評価したところ、何らの病変も認められなかった最大の農薬濃度は 0.02%であった。以下の条件のとき、この農薬の1日許容摂取量(ADI、mg/kg 体重/日)として最も近い値はどれか。
ラットの1日あたりの摂餌量:25g
ラットの平均体重:250g
ヒトの平均体重:50kg
安全係数:100
1. 0.01 |2. 0.2 |3. 5 |4. 20 |5. 125 |
(論点:農薬 / ADI)
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問134 Q. ある野菜から農薬Aが0.020ppm(0.020mg/kg)検出された。この農薬Aの毒性試験データを下に示す。体重20kg の子供が1日にこの野菜を10g 食べたとき、子供が摂取した農薬Aの量は、この農薬の許容一日摂取量(ADI)の何%に相当するか。最も近い値はどれか。ただし、安全係数を100とする。
毒性試験|動物種|NOAEL*(mg/kg 体重/日)
生殖毒性試験|ラット|5.4
催奇形性試験|ラット|6.0
慢性毒性試験|ウサギ|4.0
慢性毒性試験|イヌ |3.0
* NOAEL:無毒性量
1. 33 |2. 3.3 |3. 0.33 |4. 0.033 |5. 0.0033 |6. 0.00033|
(論点:農薬 / ADI)
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102, 問103-134【衛生】論点:農薬 / ADI
こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。解説します。薬剤師国家試験の衛生から、農薬を論点とした問題です。第102回薬剤師国家試験【衛生】薬学理論問題の問134(問102-134)および第103回薬剤師国家試験【衛生】薬学理論問題の問134(問103-134)では、有害化学物質である農薬の1日許容摂取量(ADI|acceptable daily intake)に関する理解が問われました。ADIに関する計算問題です。論点解説を無料で体験していただけます。苦手意識があるひとも、この機会に、有害化学物質(農薬)の基礎の計算問題を一緒に完全攻略しましょう!
2019/02/09 17:45 公開 https://matsunoya.thebase.in/blog/2019/02/09/174500
目次|
1|問102-134 論点:農薬 / 1日許容摂取量(ADI)【計算問題】
2|問103-134 論点:農薬 / 1日許容摂取量(ADI)【計算問題】
1|問102-134 論点:農薬 / 1日許容摂取量(ADI)【計算問題】
Q. ある農薬を様々な濃度で餌に混ぜ、ラットに2年間与え、慢性毒性を評価したところ、何らの病変も認められなかった最大の農薬濃度は 0.02%であった。以下の条件のとき、この農薬の1日許容摂取量(ADI、mg/kg 体重/日)として最も近い値はどれか。【計算問題】
ラットの1日あたりの摂餌量:25g
ラットの平均体重:250g
ヒトの平均体重:50kg
安全係数:100
1日許容摂取量(ADI|acceptable daily intake)について解説します。ADIに関する、最新の科学的根拠に基づく参考資料としては、農林水産省のホームページ(HP)(農林水産省|個別危害要因への対応(健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質)>野菜等の硝酸塩に関する情報 >用語解説 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/setumei.html 一日許容摂取量(ADI)〔文献1〕)に、情報がわかり易く整理してありました。引用して解説します。
1日許容摂取量(ADI)は、ヒトが一生涯にわたり毎日摂取しても健康上悪影響がないと推定される化学物質の最大摂取量です。化学物質の生体影響の強さの指標であり、通常、体重1 kg当たりの化学物質摂取量で表します(mg/kg体重/日)。ADIは、農産物・食品の生産、製造、加工過程において意図的に使用される農薬・添加物などの場合に用いられる指標で、最大無作用量(動物実験において安全性が確認された最大量)から、動物実験の結果であることを考慮して、ヒトの化学物質に対する感受性が動物実験の結果の10倍と仮定し、さらに個人差が10倍あるとして、それらをかけ合わせた100(安全係数)で最大無作用量を除して算出する方法が多く用いられます。つまり、ADIは、動物の最大無作用量を、体重1 kg当たりの化学物質の1日摂取量(mg/kg体重/日)として算出し、それを100(安全係数)で除した値です。式1に、算出に用いる式を示します。
ADI(mg/kg体重/日)=
最大無作用量(%) × 1日当たりの摂餌量(mg) × 0.01 ÷ ラット体重(kg) ÷ 安全係数 =
0.02 × 25000 × 0.01 ÷ 0.25 ÷ 100 = 0.2(mg/kg体重/日) …(式1)
計算のコツは、単位を最初からADIの単位(mg/kg体重/日)と同じ単位(mg、kg、1日当たり)に揃えてから、動物の最大無作用量(mg/kg体重/日)を算出して、安全係数(100)で除すことです。ラットの摂餌量を25000 mg、ラット体重を0.25 kgとしておくと計算を間違えないで済みます。
2|問103-134 論点:農薬 / 1日許容摂取量(ADI)【計算問題】
Q. ある野菜から農薬Aが0.020ppm(0.020mg/kg)検出された。この農薬Aの毒性試験データを下に示す。体重20kg の子供が1日にこの野菜を10g 食べたとき、子供が摂取した農薬Aの量は、この農薬の許容一日摂取量(ADI)の何%に相当するか。最も近い値はどれか。ただし、安全係数を100とする。
毒性試験|動物種|NOAEL*(mg/kg体重/日)
生殖毒性試験|ラット|5.4
催奇形性試験|ラット|6.0
慢性毒性試験|ウサギ|4.0
慢性毒性試験|イヌ |3.0
* NOAEL:無毒性量
解説します。問103-134は、ADIの算出と、ADIに対する摂取量の比率(%)の算出を必要とする計算問題です。
第1段階として、ADIを算出します。式2に、ADIの算出に用いる式を示します。
ADI = 動物における最大無作用量(mg/kg体重/日)÷ 安全係数 = 3.0 ÷ 100 = 3×10^(-2)(mg/kg体重/日) …(式2)
動物における最大無作用量は、無毒性量(NOAEL)の比較から、NOAELが最も小さかった「イヌの慢性毒性試験」における3.0(mg/kg体重/日)です。表の中でNOAELの最小値を最大無作用量として採用することがアプローチのポイントです。
第2段階として、子供の農薬摂取量(mg/kg体重/日)を算出します。式3に、農薬摂取量を求める式を示します。野菜の摂取量をmgに換算すること(10000mg)と、ppmが百万分率(1ppm = 1/1000000)であるので10^(-6)を乗じることを忘れなければ大丈夫です。
子供の農薬摂取量(mg/kg体重/日)= 野菜摂取量(mg) × 濃度(ppm) × 10^(-6) ÷ 体重(kg) =
10000 × 0.020 × 10^(-6) ÷ 20 = 1 × 10^(-5)(mg/kg体重/日) …(式3)
第3段階として、摂取量のADIに対する比率(%)を算出します。摂取量(1×10^(-5) mg/kg体重/日)をADI(3×10^(-2) mg/kg体重/日)で除して100を乗じることで比率(%)を算出します。式4に、算出に用いる式を示します。
摂取量のADIに対する比率(%)=
子供の農薬摂取量(mg/kg体重/日)÷ ADI(mg/kg体重/日)× 100 =
1 × 10^(-5) ÷ (3 × 10^(-2)) × 10^(2) = 1 ÷ 3 × 10^(-1)
= 0.033(%) …(式4)
式を立ててみた後、計算を1÷3と10^n(べき乗)の計算に分けて考えると、桁を間違えないで済みます。計算結果から、野菜から摂取した農薬Aの摂取量は、農薬Aの1日許容摂取量(ADI|acceptable daily intake)と比較して1万分の3でした。このことから、農薬Aを野菜から摂取したことが、健康に影響することはないとの考察が可能です。
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(1)第102回-問134 → https://youtu.be/dB8_lBjA8_w
(2)第103回-問134 → https://youtu.be/boACUTUscUk
ポイント|
【A】は、【B】が【C】にわたり【D】しても【E】と【F】される【G】の【H】である。【G】の【I】の強さの指標であり、通常、【J】当たりの【G】摂取量で表す(【K】)。【A】は、【L】の【M】過程において【N】される【O】などの場合に用いられる指標で、【P】(【Q】において【R】が確認された【S】)から、【Q】の結果であることを考慮して、【B】の【G】に対する【T】が【Q】の結果の【U】と仮定し、さらに【V】が【U】あるとして、それらをかけ合わせた【W】で【P】を除して算出する方法が多く用いられる。つまり、【A】は、動物の【P】を、【J】当たりの【G】の【X】摂取量(【K】)として算出し、それを【W】で【Y】た値である。
A. 一日許容摂取量(ADI|acceptable daily intake)
B. ヒト
C. 一生涯
D. 毎日摂取
E. 健康上悪影響がない
F. 推定
G. 化学物質
H. 最大摂取量
I. 生体影響
J. 体重1 kg
K. mg/kg体重/日
L. 農産物・食品
M. 生産、製造、加工
N. 意図的に使用
O. 農薬・添加物
P. 最大無作用量
Q. 動物実験
R. 安全性・無毒性
S. 最大量
T. 感受性
U. 10倍
V. 個人差
W. 100(安全係数)
X. 1日
Y. 除し
では、問題を解いてみましょう!すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第102回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問134 Q. ある農薬を様々な濃度で餌に混ぜ、ラットに2年間与え、慢性毒性を評価したところ、何らの病変も認められなかった最大の農薬濃度は 0.02%であった。以下の条件のとき、この農薬の1日許容摂取量(ADI、mg/kg 体重/日)として最も近い値はどれか。
ラットの1日あたりの摂餌量:25g
ラットの平均体重:250g
ヒトの平均体重:50kg
安全係数:100
1. 0.01 |2. 0.2 |3. 5 |4. 20 |5. 125 |
(論点:農薬 / ADI)
第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問134 Q. ある野菜から農薬Aが0.020ppm(0.020mg/kg)検出された。この農薬Aの毒性試験データを下に示す。体重20kg の子供が1日にこの野菜を10g 食べたとき、子供が摂取した農薬Aの量は、この農薬の許容一日摂取量(ADI)の何%に相当するか。最も近い値はどれか。ただし、安全係数を100とする。
毒性試験|動物種|NOAEL*(mg/kg 体重/日)
生殖毒性試験|ラット|5.4
催奇形性試験|ラット|6.0
慢性毒性試験|ウサギ|4.0
慢性毒性試験|イヌ |3.0
* NOAEL:無毒性量
1. 33 |2. 3.3 |3. 0.33 |4. 0.033 |5. 0.0033 |6. 0.00033 |
(論点:農薬 / ADI)
楽しく!驚くほど効率的に。
まずは、薬剤師国家試験 必須問題で、キックオフ!走りだそう。きっと、いいことあると思う。
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以上。BLNtより。
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