2017/05/07 11:21

松廼屋のBLOG オススメのすすめ|レギュレーション教育のすすめ

レギュレーション教育のすすめ
製薬企業に勤務していたころ、GMPで運営されている工場で使用されている品質管理LIMS(Laboratory information management system)に、レギュレーション対応を目的とした付加機能(オプション)を付けるプロジェクトに、エンドユーザ側の担当者として、参加したことがあります。約半年間、企業内のIT部門を含む、社内外のエンタープライズやプラットフォームのサプライヤチェーンと密にコミュニケーションを続ける中で、気づいたことの1つは、サプライヤチェーンのレギュレーションに対する造詣や理解が、まったくないということでした。
考えてみれば、当然のことで、
彼らは、おそらく、大学で「法規・制度・倫理」の単位を取得する機会がないでしょうし、卒後教育も認定試験も受けてはいないでしょう。コンピュータプログラムやリレーショナルデータベースのシステム構造に詳しくても、レギュレーションのバックグラウンドが全くないので、うっかりすると、レギュレーション対応を目的としているシステム構築なのに、構築したシステム内に、レギュレーション違反があったりします。例えば、マスタ構築の際に、厳密に法規制されているレコードの「法規制レベルタグ」をつけ間違え、全数チェックもしないで平気で渡してくるとか、リスクコントロールのために自動化すべき入力セルを「手入力」のまま提示するとか、そこを、密に話し合って、レギュレーションからの逸脱が限りなく少なくなるように、目的とする機能をシステムに付加していくところが、その時代の私にとって、新しい経験であり、苦労もありましたが、楽しい発見の多い仕事でした。
なぜ、今、こんな話をしているかというと、
これからの時代はIT企業に進むキャリアを選ぶような学生さんに、必須科目として「法規・制度・倫理」の教育があった方がいいのではないかと思ったからです。コンピュータシステムが生活の中に浸透してきて、専門知識がない人たちが、端末で、インターフェイスに触れる機会が多くなってきました。特に、スマートフォンの普及がそれを加速しています。一方で、インターネットは犯罪が横行する怖いところであるという印象を与える、いわゆる「暴走族、無法者(日本人なのか外国のサイバーテロなのか不明ですが)」の類が、地球規模のインフラストラクチャ(公道)であるインターネット上で、全世界中の人たちが見ている前で、市民なら絶対に行わないような振る舞いを、根っから性悪なやくざらしい、霊長類の特徴を失ったような、ゴリラやチンパンジーでさえやらない、つまらないディスプレー行動で、やらかしています。地球規模の公道で、なぜ、やくざがショバ代請求行為や見え透いたオレオレ詐欺をして、猿以下の「ディスプレー行動」をしているのか。何のアピールになるのか。常識のある市民は、つまらないと思い、うんざりして気分が悪くなるだけです。残念な仕上がりはアピールにはなりません。
日本人ならば、日本人としての、オーソライズされた意味での「恥」を知ってほしいと考えます。電子データは消去されない限り、記録として残りますから。馬鹿がもてはやされる時代ではないです。
IT企業で、インターフェイス(アプリと呼ばれることもあります)を構築して販売している人たちに、
レギュレーション遵守のバックグラウンドがないことが、ITやインターネットのシステムに脆弱性を残し危険にしているといってよいと思います。医師、薬剤師等、医療関係者は、弱者である患者さんと触れ合う機会が多く、また、行動に不備があると、人の生命や人権に大きくかかわることになるので、6年間の大学での教育の中で、医療関係者が守るべき様々な法規制を学び、法規制を遵守した業務のあり方、いってみれば、「お行儀」「お作法・お点前」を学びます。医薬品開発の分野では、特に「性悪説」に基づいて成立したレギュレーションを深く学びます。人間全員が性悪なことをすると仮定した場合に、それでも人権を守り公衆衛生を保つためのシステム構築を要求するレギュレーションを学ぶのです。それは、卒後教育として生涯続き、医療従事者はより深く専門性のある認定試験を受けキャリアを構築します。必要なことですし、人間としての自己実現の観点からも、大事な職業能力訓練です。
今の時代は、まさにIT産業のこれからの発展のためにも、産官学合同の、IT系人材のレギュレーションに関する体系的な教育体制が必須となってくる時代なのではないでしょうか。IT系サプライヤーチェーンとのコミュニケーションの経験から、市民の安全と豊かさのため、それは、市民からのリコメンドであり切に願う事です。
IT系人材がレギュレーションのバックグラウンドを持っている国が、
強く安全な国になっていくと予測されます。義務教育から、コンピュータプログラムを学ばせるトレンドがあるらしいですが、それのみで世界に冠たる日本のITインフラを構築することは難しい。日本のインターネットやSNS、IT業界の現状を鑑みれば、容易に推察されることと思います。応用工学の分野に、レギュレーション遵守を含むリスクベースドアプローチを実現していくテーマは、クリエイティブな若い才能のある人たちにとって、面白い課題解決分野であると思いますよ。優秀でバランスのとれたIT系人材の台頭が期待されます。

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店長 滝沢幸穂 Yukiho Takizawa
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